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点睛
「点睛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
点睛の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「思い出す事など」より 著者:夏目漱石
さの程度を料《はか》り得ぬと云う方がむしろ適当かも知れぬ。それであればこそ、画竜
点睛《がりゅうてんせい》とも云うべき肝心《かんじん》の刹那《せつな》の表情が、ど....
「手紙」より 著者:夏目漱石
の前に現われるまで引きずっていった。ところがこの好奇心が遺憾なく満足されべき画竜
点睛《がりょうてんせい》の名前までいよいよ読み進んだ時、自分は突然驚いた。名あて....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
らないのである。けれども、明治十八年建設当初に、河鍋暁斎や落合芳幾をしてこの館の
点睛に竜宮の乙姫を描かせたほどの綺びやかな眩惑は、その後星の移るとともに薄らいで....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
ばならぬ……というのが翁自身のモットーであり、数々の訓戒に含まれている不言不語の
点睛であったらしい。次のような逸話の数々が残っている。 ◇ ....
「映画雑感(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
ローズアップにはこの映画に限らず頭の上をはう蠅が写っている。この蠅がいわゆる画竜
点睛の役目をつとめる。これを見ることによってわれわれは百度の気温と強烈な体臭を想....
「日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
外国精神から「構成」されているとすれば遺憾に耐えない。
高須氏はそこで、「画竜
点睛」のために、「日本国体に就いての自覚」を持ち出す。なぜ之が一等先に出て来なか....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
ということを説いたが、それには主人と店員はどうせねばならぬかを述べなければ、画龍
点睛のそしりを免れないと思う。 お客のために研究に、研究を重ねて、いいものを真....
「南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
名だ。傀儡だ傀儡だ! 人形のことだ! 『てんせい』というのは眼のことだろう。画龍
点睛という言葉がある。龍を画いて眼を点ずる! この
点睛に相違ない。『しとう』とい....
「魔都」より 著者:久生十蘭
影が一つ二つ樹の間を通して仄見えるのは、この際背景としてまことに適切、まさに画竜
点睛の趣きがあるのである。日ごろでさえも浮世の風があまり露骨には吹きつけぬ界隈。....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
これまた適当に赤を混ぜることだ。そのとき各々の人たちの芸はそれぞれ皆はじめて画竜
点睛、ポッカリと江戸紫の花咲きそめることだろう。 とするとどうだ、この私は。 ....
「漬物の味〔扉の言葉〕」より 著者:種田山頭火
彼女は必らずよくない妻君だ! 山のもの海のもの、どんな御馳走があっても、最後の
点睛はおいしい漬物の一皿でなければならない。 漬物の味が解らないかぎり、彼は全....
「三国志」より 著者:吉川英治
たのを望んで、曹操は馬を前線へ進めてきた。そして、馬超を逸したと聞くと、 「画龍
点睛を欠く」 と、つぶやいて、すぐ馬前の人々へいった。 「馬超に従いて落ちて行....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
朝がたの君臣を、このさい一挙に捕えることもできたろうに」 と、それだけは画龍に
点睛を欠いたものと嘆じるのだった。 「……いや何とも」 と、師直は、あたまをた....
「日本料理の要点」より 著者:北大路魯山人
るにつけても、甚だ遺憾に堪えぬものがあるのである。料理の技法の点においても、その
点睛のための味付けの点においても、甚だ不徹底極まるものであって、これがかつて、そ....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
火山のような長い美しい裾の斜線を見せて、秀麗な円錐形に聳えているのがこの大画幅に
点睛の妙を極めて人を叫ばせずには置かない。最も近く大きな蛞蝓を匍わしたような鬼ヶ....