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烏賊
「烏賊〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
烏賊の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「みちのく」より 著者:岡本かの子
北海の浪の音を聞いていると、私はこの老婦人と一緒に永遠に四郎を待つ気持になれた。
烏賊《いか》つり船の灯が見え始めた。 (昭和十二年十月)....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
子とはとかくに折り合いが悪い。大身の子は御目見《おめみえ》以下の以下をもじって「
烏賊《いか》」と罵ると、小身の方では負けずに「章魚《たこ》」と云いかえす。この烏....
「鮨」より 著者:岡本かの子
せん、白い玉子焼だと思って喰べればいいんです」 といった。 かくて、子供は、
烏賊というものを生れて始めて喰べた。象牙のような滑らかさがあって、生餅より、よっ....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
れた学校服を脱ぎ捨てて、君は厚衣を羽織る身になった。明鯛から鱈、鱈から鰊、鰊から
烏賊というように、四季絶える事のない忙しい漁撈の仕事にたずさわりながら、君は一年....
「聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
警部は一振りの洋式短剣を突き出した。銅製の鍔から束にかけて血痕が点々としていて、
烏賊の甲型をした刃の部分は洗ったらしい。それがラザレフの所有品で、平生扉の後の棚....
「二、〇〇〇年戦争」より 著者:海野十三
また無電報告をはじめた。 “さっきの続きだ。いいかね。――敵はいずれも全身から蛍
烏賊の如き青白き燐光を放つ。わしは幽霊かと見ちがえて、カモシカ中尉から叱られた。....
「毒瓦斯発明官」より 著者:海野十三
くなって、遂に大蜘蛛に化けたのであるか。それとも、彼はオーストラリヤで戦車にのし
烏賊られて絶命し、魂魄なおもこの地球に停って大蜘蛛と化したのであるか。 「あれ、....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
は、また夥多く鰯があがりました。獅子浜在の、良介に次吉という親子が、気を替えて、
烏賊釣に沖へ出ました。暗夜の晩で。――しかし一|尾もかかりません。思切って船を漕....
「古狢」より 著者:泉鏡花
も知れないが。――座敷は三階だったけれど、下からは四階ぐらいに当るだろう。晩飯の
烏賊と蝦は結構だったし、赤蜻蛉に海の夕霧で、景色もよかったが、もう時節で、しんし....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
から、気の荒いお船頭が、こんな泣虫を買うほどなら、伊良子崎の海鼠を蒲団で、弥島の
烏賊を遊ぶって、どの船からも投出される。 また、あの巌に追上げられて、霜風の間....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
んの方でない、安達ヶ原の納戸でないから、はらごもりを割くのでない。松魚だ、鯛だ。
烏賊でも構わぬ。生麦の鰺、佳品である。 魚友は意気な兄哥で、お来さんが少し思召....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
手繰って引結うのに、撓った片手は二の腕まで真白に露呈で、あこがるる章魚、太刀魚、
烏賊の類が吹雪の浪を泳ぎ寄りそうで、危っかしい趣さえ見えた。 ――ついでに言お....
「人体解剖を看るの記」より 著者:海野十三
んにも――とは、厳密にはいえないかも知れない。内臓を切り放し、外へ引出すときに、
烏賊の皮をむくときのように、パリパリと音がするのであった。それは内臓を繋いでいる....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
―― 「この松の事だろうか……」 ――金石の湊、宮の腰の浜へ上って、北海の鮹と
烏賊と蛤が、開帳まいりに、ここへ出て来たという、滑稽な昔話がある―― 人待石に....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
軒下で、四辻をちょっと入った処だった。辻には――ふかし芋も売るから、その湯気と、
烏賊を丸焼に醤油の芬々とした香を立てるのと、二条の煙が濃淡あい縺れて雨に靡く中を....