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「烙印〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

烙印の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
はいられなかった。豪奢をも、――この豪奢に対する憎悪は中流下層階級の貧困の与える烙印《らくいん》だった。或は中流下層階級の貧困だけの与える烙印だった。彼は今日も....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
》く出来上った人間の一人であった。しかしまたその御目出度さがあらゆる強者に特有な烙印《やきいん》である事も事実であった。だから仲間の若者たちが河上の方へ行くのを....
のんきな患者」より 著者:梶井基次郎
しに、夫に死に別れたとか年が寄って養い手がないとか、どこかにそうした人生の不幸を烙印《らくいん》されている人達であることを吉田は観察していたのであるが、あるいは....
富士」より 著者:岡本かの子
ぎ置き度い非情手段から、翁は呪《のろ》いという逆手《ぎゃくて》で娘の感情に自分を烙印《らくいん》したのだったが、必要以上に娘を傷けねばよいが。 「どうしたらいい....
東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
私に戻す。私はまた擦り直す。その時逆にした灰吹の口に近く指に当るところに磨滅した烙印《らくいん》で吐月峰と捺《お》してあるのがいつも眼についた。春の陽ざしが麗《....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
ツ元帥のことはすこしも出て来ない。ヒムラー内相のことはデーニッツ新総統が不服従の烙印を捺し、ヒムラー氏の対米英休戦申入れを許さずとしたとある。 いずれにしろ、....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
。それにしても、屍光のような超自然現象を起しただけで飽き足らずに、その上降矢木の烙印を押すなんて……。僕には、この清浄な光がひどく淫虐的に思えてきたよ」 「いや....
地獄の使者」より 著者:海野十三
ばかりで、かねて手ぐすねひいている新聞記者からは「事件迷宮入り」という香しくない烙印をたちまち捺されてしまわねばならない。その間に立って、自分が苦心さんたんして....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
たのは蛇の肌にさわったような冷たい感じで、その時の感じはいまだに掌の上に、熱鉄の烙印を押したように残っています。それは彼女の手であったのです。 「不幸なかたね。....
頭髪の故事」より 著者:井上紅梅
ことも出来ず、ずっと第一双十節の後まで、一ヶ月余りも愚図々々して、ようやく犯罪の烙印が消えた。 わたしはね、わたしもやはり同様だった。元年の冬、北京《ペキン》....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
ごく薄い、やっと見えるか見えないぐらいの、薄衣のようなものだったが、しばし悲しい烙印の跡を、覆うているかのように見えた。 ウルリーケは、見たところ三十がらみで....
人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
た図紋なんだよ。実はあれが、|竜鋤の形で、トラケーネン血種という、高貴な馬に捺す烙印だったのだ。つまりクイロス教授は、あの画の中で、双体畸形こそ、嵯峨家の血系で....
錦紗」より 著者:犬田卯
からこそ二十三になる今日まで――農村の習慣として女は二十歳をすぎれば婚期おくれの烙印を捺される――誰も嫁にほしいと言ってくれる者がないのかも知れない。同年輩の多....
」より 著者:犬田卯
な、城壁を築いたような態度から、彼女は肥料代のことに思いを及ぼし、まざまざと母の烙印を見たように思ったのだ。気を取り直して田へ行くには行ったが、おせきは胸が静ま....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
当時思想統制の前衛としての国文学界においては、それが明晰に語られるならば、異端の烙印を蒙るおそれは決して存しないわけではなかった。私は今日この文章を読み直してみ....