烟る[語句情報] »
烟る
「烟る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
烟るの前後の文節・文章を表示しています。該当する6件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「薤露行」より 著者:夏目漱石
が如く重い。流を挟《はさ》む左右の柳は、一本ごとに緑りをこめて濛々《もうもう》と
烟る。娑婆《しゃば》と冥府《めいふ》の界《さかい》に立ちて迷える人のあらば、その....
「竹青」より 著者:太宰治
容も真似して大きく輪を描いて飛びながら、脚下の孤洲を見ると、緑楊水にひたり若草|
烟るが如き一隅にお人形の住家みたいな可憐な美しい楼舎があって、いましもその家の中....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
ただしくうち煙りぬ。一燈じじと燃えて、夜の雨はらはらと窓をうつ。 母はしきりに
烟る葉巻を灰に葬りつつ、少し乗り出して 「なあ、武どん、あんまいふいじゃから卿も....
「眼を開く」より 著者:夢野久作
を立てているのが、時々聞えて来るのには、何故ということなしに肝を冷やした。渦巻|
烟る吹雪に捲かれて、どこにも手がかりの無い岨道を踏み外したが最後、二度と日の目を....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
呼んだ。 「ジャン! ジャーン!」 もう暮色が蒼然とあたりに迫っていた。夕靄が
烟るように野末にたち罩め、ものの輪廓が、ほの暗い、はるか遠方にあるように見えた。....
「後の日の童子」より 著者:室生犀星
た。 女は、立ってれいの光る小さい堂宇の前へ行った。そして細い一本の草のような
烟るものに火を点けた。かれらは、かれらの生んだものを慕うそれにふさわしい、小さい....