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焔
「焔〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
焔の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
彼は手拭と垢すりとを流しへほうり出すと半ば身を起しながら、苦い顔をして、こんな気
焔《きえん》をあげた。
「もっとも、当節《とうせつ》の歌よみや宗匠くらいにはいく....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
」
ランプは相不変《あいかわらず》私とこの無気味《ぶきみ》な客との間に、春寒い
焔を動かしていた。私は楊柳観音《ようりゅうかんのん》を後《うしろ》にしたまま、相....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
。」と、一言《ひとこと》申しました。折からあの焚き捨てた芥火《あくたび》が、まだ
焔の舌を吐いているそのかすかな光に透かして見ますと、小屋はどれよりも小さいくらい....
「彼」より 著者:芥川竜之介
はその葉書の隅に肉筆で書いてある文句だった。僕はこう云う文句を読み、何冊かの本が
焔《ほのお》になって立ち昇る有様を想像した。勿論それ等の本の中にはいつか僕が彼に....
「魔術」より 著者:芥川竜之介
さず眺めていました。
また実際ランプの蓋《かさ》が風を起して廻る中に、黄いろい
焔《ほのお》がたった一つ、瞬《またた》きもせずにともっているのは、何とも言えず美....
「道祖問答」より 著者:芥川竜之介
暫くすると、切り燈台の火が、いつの間にか、少しずつ暗くなり出したのに気がついた。
焔《ほのお》の先が青くなって、光がだんだん薄れて来る。と思うと、丁字《ちょうじ》....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
ほど、不思議な話です」
※南田《うんなんでん》は、さっきから銅檠《どうけい》の
焔《ほのお》を眺めていた。
「その後《ご》王氏も熱心に、いろいろ尋《たず》ねてみ....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
語の中《うち》には、これらの憎しみが、燻《くすぶ》りながら燃える火のように、暗い
焔を蔵していたのである。
そこへ、突然、思いがけない非謀《ひぼう》が、内室《な....
「保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
自身のマッチを擦《す》り、その火を保吉の前へ出した。保吉は赤あかと靡《なび》いた
焔《ほのお》を煙草の先に移しながら、思わず口もとに動いた微笑《びしょう》を悟《さ....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
《からか》うようにこう云った――それが後になって考えると、新蔵の心に燃えている、
焔のような逢いたさへ、油をかける事になったのでしょう。ほどなく泰さんに別れると、....
「田端日記」より 著者:芥川竜之介
大に金のありそうな事を云ってすましている。それから、籐椅子に尻を据えて、勝手な気
焔をあげていると、奥さんが三つ指で挨拶に出て来られたのには、少からず恐縮した。 ....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
ました。 地獄には誰でも知っている通り、剣の山や血の池の外にも、焦熱地獄という
焔の谷や極寒地獄という氷の海が、真暗な空の下に並んでいます。鬼どもはそういう地獄....
「初雪」より 著者:秋田滋
、一しお身に浸みる寒さが、絶えず彼女を悩ました。彼女は寒さに顫える手を燃えさかる
焔にかざした。燃えあがっている火は顔を焦すほど熱かったが、氷のような風が、背中へ....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
をかけたりする。時によると、ポタシウムの切れを水に浮べてやったり、あるいはこれを
焔に入れて紫の光を出して、見せてやったりする。 もし外国の学者でも来て名刺を通....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
が、ちょうど彼らがこの教会の橋まできたとき、ヘッセ人はぱっと飛びあがり、一閃の火
焔となって姿をかきけしたのである。 暗闇で話をするときの、あの眠たげな低い声を....