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「焙烙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

焙烙の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
火の光りがちらちらひらめいて、黒い人影や白い浴衣が薄暗いなかに動いていた。お時も焙烙《ほうろく》に苧殻《おがら》を入れて庭の入り口に持ち出した。やがて火打ちの音....
虞美人草」より 著者:夏目漱石
行方《ゆくえ》を隠してしまった。 塗り立てて瓢箪形《ひょうたんなり》の池浅く、焙烙《ほうろく》に熬《い》る玉子の黄味に、朝夕を楽しく暮す金魚の世は、尾を振り立....
行人」より 著者:夏目漱石
にしているらしかった。自分も変に窮屈だった。 「昨夕《ゆうべ》食った鯛《たい》の焙烙蒸《ほうろくむし》にあてられたらしい」と云って、自分は不味《まず》そうな顔を....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
茶茶碗は、これらの人々の前に置かれた。調練場の方ではどッと云う鬨の声が揚がった。焙烙調練が始まったらしい。 わたしは巻煙草を喫みながら、椅子に寄りかかって、今....
不尽の高根」より 著者:小島烏水
間に栽培した柑橘類の樹木が、疎らに立っているばかり。それに比べると、夏の富士は、焙烙色に赭ッちゃけた焼け爛れを剥き出しにした石山であるのに、この水々しさと若さは....
乳色の靄」より 著者:葉山嘉樹
めた。 陽光がやけに鋭く、砂利を焙った。その上を自動車や、電車や、人間などが、焙烙《ほうろく》の上の黒豆のように、パチパチと転げ廻った。 「堪らねえなあ」 ....
あとがき(『宮本百合子選集』第一巻)」より 著者:宮本百合子
ヴァガボンド」を発表し、ヨーロッパ風な教養と中流知識人の人道的な作風を示した。「焙烙の刑」その他で、女性の自我を主張し、情熱を主張していた田村俊子はその異色のあ....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
のお祭の夜からふりだした雨が、三十一日になっても降りやまない。 神田佐久間町の焙烙《ほうろく》長屋のドンづまり。古井戸と長屋|雪隠《せっちん》をまむかいにひか....
つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
本橋の大通りだ。 ずらりと老舗《しにせ》がならんでいる。 右へ向かって神田。焙烙《ほうろく》で、豌豆《えんどう》をいるような絡繹《らくえき》たるさんざめき、....
雪代山女魚」より 著者:佐藤垢石
養した味品まことに卑なる川鱒と生蝦の餌で育った淡味口に凉を呼ぶという川鱒とを並べ焙烙の勝を求めたに対し、その仁は、豚の肝臓を餌にした方を指した。 味は舌の芸術....
採峰徘菌愚」より 著者:佐藤垢石
引っ張り出し、それをそのまま味醂、醤油、砂糖でからからに煮てもよし、塩にまぶして焙烙で炒ってもいい。油でいためればさらによく、蜂の子めしに至っては珍中の珍だ。 ....
豆腐買い」より 著者:岡本かの子
た雀斑だらけの母親をも思い出した。 五六軒先の荒物屋の溝板と溝板の上のバケツや焙烙が鳴って十六七の男の子が飛出して来た。右側に通る電車の後を敏捷に突き切り途端....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
に、春は四月の麗《うらら》かな陽が旱魃《ひでり》つづきの塵埃《ほこり》を見せて、焙烙《ほうろく》のように燃えさかっている午さがりのことだった。 八つを告げる回....
手仕事の日本」より 著者:柳宗悦
島窯が起り、よい雑器を試みます。浅口郡に大原窯があって、釉のない瓦焼で、土瓶とか焙烙とか土鍋とか蛸壺とかを作ります。少しもいやみのない品々で、こういう質素なもの....
穀神としての牛に関する民俗」より 著者:中山太郎
し赤青紙張りの笠を破り、手に長い竹弓と蕪矢《かぶらや》を持つ。牛の口取りは持主で焙烙《ほうろく》を被るが式は社頭と当宿で祝言を述べるだけである。大阪市住吉区平野....