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「焜炉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

焜炉の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
奈々子」より 著者:伊藤左千夫
》は姉なるものの大人下駄《おとなげた》をはいて、外へ出ようとするところであった。焜炉《こんろ》の火に煙草をすっていて、自分と等しく奈々子の後ろ姿を見送った妻は、....
世相」より 著者:織田作之助
や横堀は放浪小説を書きつづけて来た私の作中人物であった。 茶の間へ上って、電気焜炉のスイッチを入れると、横堀は思わずにじり寄って、垢だらけの手をぶるぶるさせな....
新生」より 著者:島崎藤村
女中は母屋《おもや》の方から食卓だの、食器だの、焼鍋《やきなべ》だの、火を入れた焜炉《こんろ》だのを順に運んで来た。やがてかしわの肉を盛った大きな皿までがそこへ....
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
髷の艶々しい、きゃしゃな、色白な女が立って手伝って、――肥大漢と二人して、やがて焜炉を縁側へ。……焚つけを入れて、炭を継いで、土瓶を掛けて、茶盆を並べて、それか....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
にはいられない。配縄を投げ終わると、身ぶるいしながら五人の男は、舵座におこされた焜炉の火のまわりに慕い寄って、大きなお櫃から握り飯をわしづかみにつかみ出して食い....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
、この頃はころころになって、何か新らしく仕込んだ洒落の一つも披露しながら、片隅の焜炉で火を焙して、お椀の汁を適度に温め、すぐ箸が執れるよう膳を並べて帰って行く。....
食魔」より 著者:岡本かの子
間台所で賑やかな物音を立て何か支度をしていた鼈四郎は、襖を開けて陶器鍋のかかった焜炉を持ち出した。白いものの山型に盛られている壺と、茶色の塊が入っている鉢と白い....
千鳥」より 著者:鈴木三重吉
ないんですもの」と肩へかける。 「それでも洋服とは楽でがんしょうがの」と、初やが焜炉を煽ぎながらいう。羽織は黄八丈である。藤さんのだということは問わずとも別って....
太郎坊」より 著者:幸田露伴
のもはや何事にも軽々しくは動かされぬというようなありさまを見せている。 細君は焜炉を煽いだり、庖丁の音をさせたり、忙がしげに台所をゴトツカせている。主人が跣足....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
りした、その上、多分の寸伸びを持った応対。 見ると、そこに、不器用な手つきで、焜炉《こんろ》を煽《あお》って何物をか煎じつつあるその男は、これはずいぶん変って....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
を探すと、いつの間にか、商用の重役らしい三人づれが一卓を占めて、牛鍋のアルコホル焜炉をかこんでいるのだった。 『婆さんは残してきても何とも思わんが、三味線だけは....
文学以前」より 著者:豊島与志雄
は面白い。初めに幾種類かの前菜が出て、それからいよいよ羊の肉となる。食卓の中央に焜炉が据えられ、焜炉の上の鍋には、真中に小さな煙筒がつきぬけていて、下の火力が衰....
たぬき汁」より 著者:佐藤垢石
言うに、家庭へ持ち帰ると細君の知恵で焼鳥風にやってみることとなり、肉を串にさして焜炉の炭火で焙ったところ、脂肪が焼けて濃い煙が、朦霧のように家中へ立ちこめ、その....
葛根湯」より 著者:橘外男
近所の薬屋から葛根湯を一包とついでに万古焼きの土瓶を買って来て、野郎の面前でガス焜炉へ掛けてグツグツと煮たて始めたが、こっちは笑いを抑えるのに骨が折れたが、グス....
春泥」より 著者:久保田万太郎
さら、さら、とふりかけるみぞれの音がしのびやかに聞えた。 田代は箸の尻を返して焜炉の火を突ッついた。 「しかし、いゝえ、それは俥のことばかり申せません。」わら....