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無かった
「無かった〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
無かったの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ひょっとこ」より 著者:芥川竜之介
、当ったので、それまでは老鋪《しにせ》と云うだけで、お得意の数も指を折るほどしか
無かったのだと云う。
平吉は、円顔《まるがお》の、頭の少し禿げた、眼尻に小皺《....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
くぐ》ったが、仰《あお》ぐと梢《こずえ》に出て白い、月の形はここでも別にかわりは
無かった、浮世《うきよ》はどこにあるか十三夜で。
先へ立った婦人《おんな》の姿....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
のが、なぜ見せなかった、と詰るように聞えたので、早瀬は石を突流すごとく、 「縁が
無かったんだろうよ。」 「ところがあります、ははは、」と、ここでまた相好とともに....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
二十一 「はじめの夜は、ただその手毬が失せましただけで、別に変った事件も
無かったでございますか。」 と、小次郎法師の旅僧は法衣の袖を掻合せる。 障子....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
足、顔だらけ。刺戟の強い色を競った、夥多の看板の中にも、そのくらい目を引いたのは
無かったと思う。 続き、上下におよそ三四十枚、極彩色の絵看板、雲には銀砂子、襖....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
来たかい! 弱ったな、どうも、汝一人で。」 「何でございます。」 「いえさ、連は
無かったのか。」 四十三 「ただお一人でございましたよ、豪そうなお....
「狂女」より 著者:秋田滋
絶望の底にあるこの魂のなかでは、どんなことが起っていたのだろう。それは知るよしも
無かった。彼女はもう口をきかないんだからね。死んだ人たちのことでも考えていたのだ....
「墓」より 著者:秋田滋
ものも、何ものも望まなかったのであります。わたくしにはもう、欲しいものは何ひとつ
無かったのであります。 ところが、ある夕ぐれのことでした。私たちは連れ立って、....
「初雪」より 著者:秋田滋
うな期待とか希望、そんなものが何か自分にもあるだろうか? そんなものは一つとして
無かった。彼女が診てもらった医者は、子供は一生出来まいと云った。 前の年よりも....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
、画のかき方を教えてやったりした。 ファラデイの聴いたのはタタムの講義だけでは
無かった。王立協会のサー・ハンフリー・デビーの講義もきいた。それはリボーの店の御....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
のを保護することを生涯の仕事とした。詐欺師や殺人犯人達にとって、彼ほど怖いものは
無かった。という訳は、心の底にかくしている考を見破られ、一と眼で肚の中をすっかり....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
内に脱いだままで居なくなったのであるから、身を投げた時は跣足であった。 履物が
無かったばかり、髪も壊れず七兵衛が船に助けられて、夜があけると、その扱帯もその帯....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
せんか、深川の家に居なすった時なんざ、団扇を持って、自分を煽いだ事だって滅多には
無かったでしょう。私あ上りまして見ましたがね、お夏さんが行水を使って、立膝でこう....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
のか、出さなければ悪いのか、一寸は迷って仕舞って、綸に手をかけて見たものの、仕様
無かったと、言ってました。』 漁『水押の上では、随分、気を揉んだろう。見てやりた....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
の評判であったらしい。 その頃ちょうど上京中であった星野直樹氏(私は未だ面識が
無かった)から、大蔵省の局長達が日本財政の実情につき私に説明したい希望だと伝えら....