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無き事
「無き事〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
無き事の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「影」より 著者:芥川竜之介
吐き始めた。
「拝啓、貴下の夫人が貞操を守られざるは、この上なおも申上ぐべき必要
無き事と存じ候。されど貴下は溺愛の余り……」
今西の顔はこの瞬間、憎悪《ぞうお....
「無惨」より 著者:黒岩涙香
入れば殺した者は誰、殺された者は誰、其訳は是々と直に分ッて仕舞います」何の手掛も
無き事を僅か一日に足らぬ間に早や斯くまでも調べ上しは流石老功の探偵と云う可し、荻....
「血の文字」より 著者:黒岩涙香
繰返したる末、意外にも余に晩餐の饗応せんと言出たり、晩餐の饗応などとは彼れが柄に
無き事と思い余は少し不気味ながらも唯彼れが本性を見現さんと思う一心にて其招きに応....
「花吹雪」より 著者:太宰治
とられたる表情にて、口を少しくあけ、ぼんやりつっ立っているばかりに御座候。張合い
無き事おびただしき果合に有之候。相手は無言なれば、老生も無言のままに引下り、件の....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
もちて、呉家の物なりを家倉ともに押領せられむ結構とこそ承り候へ。御運とは申せ、力
無き事とは申せ、御行末の痛はしさを思へば、眼も眩れ、心も消えなむ計りと、涙を流し....
「白くれない」より 著者:夢野久作
き後、如何にしてわれ等が命を繋ぎ候べき。御身此頃、俄かに心弱り給へるは、左様の由
無き事ども思ひ続け給へる故ぞかし。人を斬り度くば峠々に出でゝ旅人をも待ち給へかし....
「松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
顕致せば大勢の難儀になる事なれば誠に非道の夫とも思わんが、何卒此の懐剣にて是非も
無き事と諦め得心の上自害して呉れられよ、尤も我等も遠からず官のお手に遇い死刑に臨....
「肌の匂い」より 著者:三好十郎
人というのも、あまり少なすぎるのではあるまいか。しかしそんな事は自分に直接の關係
無き事ゆえ、すぐに自分がMさんの知人であることを言う。椅子も無く、坐る所も無いの....