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無げ
「無げ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
無げの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「家霊」より 著者:岡本かの子
母親が 「今まで、何をしておいでだった」 と訊くと、彼女は 「えへへん」と苦も
無げに笑った。 その返事振りにはもうその先、挑みかかれない微風のような調子があ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
いほど軽蔑していら。母様の口ぶりが、」 とややその調子が強くなったが、急に事も
無げな串戯口、 「ええ、隊長、ちと謹んでくれないか。」 「母様の来ている内は謹慎....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
かないのか判らないが、復一の金魚に対する考えが全然変って行き、ねろりとして、人も
無げに、無限をぱくぱく食べて、ふんわり見えて、どこへでも生の重点を都合よくすいす....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
褪せた丹頂の毛をそよがせ蒼冥として昏れる前面の山々を淋しげに見上げて居る。私は果
無げな一羽の鶴の様子を観て居るうちに途中の汽車で別れた麻川氏が、しきりに想われる....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
「それじゃ葬式の日まで、君の身体が持つか持たんか判らないぜ」 逸作はしばらく術
無げに黙っていたが、ふと妙案のように、 「どうだ一つ、さっきのお雛妓の、あの若い....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
ごまのはいには限るまい。もっとも若い内は遣ったかも知れんてな。ははは、」 人も
無げに笑う手から、引手繰るように切符を取られて、はっと駅夫の顔を見て、きょとんと....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
斗|樽の三ツ目入道、裸の小児と一所になって、さす手の扇、ひく手の手拭、揃って人も
無げに踊出した頃は、俄雨を運ぶ機関車のごとき黒雲が、音もしないで、浮世の破めを切....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
て、慎ましげに音〆をなすのみ。 お貞は今思出したらむがごとく煙管を取りて、覚束
無げに一服吸いつ。 渠は煙草を嗜むにあらねど、憂を忘れ草というに頼りて、飲習わ....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
が開いて、拳が中へ。」 と言懸けました、声に力は籠りましたけれども、体は一層力
無げに、幾度も溜息を吐いた、お雪の顔は蒼ざめて参りまする。小宮山は我を忘れて枕を....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
母じゃあないの。え、継母は居ないのかい。」 憂慮しければぞ問いたる。小親は事も
無げに、 「私には何にもないよ。ただね、親方が有るの。」 「そう、じゃあ可いや、....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
。 「どこからです、」 「え、」と滝太郎は言淀んで、面の色が動いたが、やがて事も
無げに、 「何、そりゃ、ちゃんと心得てら。でも、あの余計にゃあ無いもんだ。こいつ....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
しんみりと涙が籠る。 「どうも、」 とばかりで、小松原は額を圧えた。医師は事も
無げに、 「聞いたのは構わんよ、沢山泣いて上げろ。だが、そこらへ溢しちゃ不可んぜ....
「取舵」より 著者:泉鏡花
ばかり打悩める婦女のみなりければ、渠の壁訴訟はついに取挙げられざりき。盲人は本意
無げに呟けり。 「はてな、小用場はどこかなあ。」 なお応ずる者のあらざりければ....
「赤げっと 支那あちこち」より 著者:国枝史郎
語や動作が、日本内地のダンサーの夫らと比べて、自暴自棄的であり、荒んで居り、人も
無げであることは争われなかった。ホールの容積も小さく設備も大して完備してはいず光....
「活人形」より 著者:泉鏡花
だという格言がある、何、訳はありません。近い内にきっと罪人を出しましょう。と事も
無げに謂う顔を警部は見遣りて、「君、鰒でも食って死よったのかも知れんが。何も毒殺....