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無にする
「無にする〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
無にするの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
がこもっていて、木村はしばらくかれこれと押し問答をしていたが、結局事務長の親切を
無にする事の気の毒さに、直《すぐ》な心からなおいろいろと旅中の世話を頼みながら、....
「老ハイデルベルヒ」より 著者:太宰治
ります。毎晩、私が黙って居ても、夕食のお膳に大きい二合徳利がつけてあって、好意を
無にするのもどうかと思い、私は大急ぎで飲むのでありますが、何せ醸造元から直接持っ....
「文七元結」より 著者:三遊亭円朝
さ遣りたくも無《ね》えけれどお前《めえ》が死ぬというから遣るてえのに、人の親切を
無にするのけえ」 と云いながら放り付けて往きました。 男「やい何を為《し》や....
「業平文治漂流奇談」より 著者:三遊亭円朝
主人に対して面目ないし、自分の楽《たのし》みをして主人の金を遣い果たして、高恩を
無にするような事をして実に済まねえ、どうも仕方がないから死のうと覚悟はしても、死....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
またいかいお気の毒じゃな。毎度々々よく御気がついて痛み入る次第じゃ。折角のお志、
無にするも失礼ゆえ、遠慮のう頂戴致そうわい。以後はな、成べくこのような事致さぬよ....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
もし然う云ったら、旦那様が此処で飲めと仰しゃったのを戴きませんでは、折角のお志を
無にするようなものだから、私は頂戴いたしますと云って、茶の間の菊がいる側の戸棚の....
「独本土上陸作戦」より 著者:海野十三
みにした。 「これ、金博士。いかに酒好きとはいえ、酒ばかり呑んで、吾輩との約束を
無にするとは遺憾である」 総指揮官は、極力腹の虫を殺して、春の海のように穏かに....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
きりいわないものだからつい食べさせる。結構でんなと顔では悦びながらも相手の好意を
無にすることをおそれて、無理やりに胃の方へ押し込んでしまってあとから下痢嘔吐を催....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
るのにも、二人の目さえ当てかねる。 さしあたり、ことわりもしないで、他の労業を
無にするという遠慮だが、その申訳と、渠等を納得させる手段は、酒と餅で、そんなに煩....
「松と藤芸妓の替紋」より 著者:三遊亭円朝
せん、お客様が折角のお志で下すった物を、粗末にしたり落しちゃア済まないよ、お志を
無にするからと申しましても、あの通り頑是がございませんから、何時までも子供のよう....
「後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
、そちは後からまいれ、礼は江戸で致すぞよ」 國「そんなら旦那様、折角の御親切を
無にするも如何、このお金は有難く頂戴いたします、御新造様、随分|危険な山路ですか....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
くれろ」という。私はもちろん金がなくって学問をして居るのですからせっかくの親切を
無にするてもないと思ってその供養を受けることにしました。私がダージリンに着いた時....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
までやらんというものを、むげに返すか慮外なり、何ほど自己が手腕のよくて他の好情を
無にするか、そもそも最初に汝めがわが対岸へ廻わりし時にも腹は立ちしが、じっと堪え....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
不遠慮に
己を自ら陋しく思わせ、切角お前のくれた物を、
嘘き掛けたただの一息で、
無にするのを忍ばねばならぬ。
そいつが己の胸に、いつかあの鏡の姿を見た時から、
....
「持ち味を生かす」より 著者:北大路魯山人
かろう、すしよかろう、人のくれたものなんでも感激なく黙々食う。こんなに自己存立を
無にする輩の多い今の日本は、この上、さらに顔色すぐれざる人間に満ち、努力、勤勉な....