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無下
「無下〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
無下の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
―そう事をいろいろ並べ立てて、根気よく私を説きました。こう云われて見ますと、私も
無下《むげ》には断ってしまう訳には参りません。そこへ相手の娘と申しますのは、評判....
「路上」より 著者:芥川竜之介
外の同人には、多少の好奇心もない事はなかった。しかも切符を貰っている義理合い上、
無下《むげ》に断《ことわ》ってしまうのも気の毒だと云う遠慮があった。そこで彼はや....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
件と云う次第ではありません。いや、東京の夜の秘密を一通り御承知になった現在なら、
無下《むげ》にはあなたも私の話を、莫迦《ばか》になさる筈はありますまい。もしまた....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
と、師道はほほえんだ。「ははあ、聞こえた。父の名をさきに申し立てて、もしその歌が
無下《むげ》に拙《つたな》いときには、家《いえ》の恥辱になると思うてか。年端《と....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
あり、春早々から乱暴などを働かれても困る。殊にいずれも馴染の顔であるから、お房も
無下《むげ》にことわり兼ねた。その勘定をあしかけ三月《みつき》の今になっても払っ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
れを引き受けることになった。 この時代の主従関係で、主人が手を下げて頼むものを
無下《むげ》には断わりにくいのと、これを引き受ければ行く行くは親孝行ができるとい....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
たくしに免じてどうか御勘弁を願わしゅう存じます」 女がしきりに頼むので、半七は
無下に跳ねけ付けることも出来なくなった。彼は女の苦しそうな事情を察して、とうとう....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
であるかが直ちに看取されるだろう。 女性が今の文化生活に与ろうとする要求を私は
無下に斥けようとする者ではない。それは然しその成就が完全な女性の独立とはなり得な....
「蠅男」より 著者:海野十三
。蠅男を捕える見込みがつかないで、悲観してしまったのか。それとも糸子に云い寄って
無下に斥けられたそのせいであろうか。 道頓堀に真黒な臍ができた。その臍は、すこ....
「春昼」より 著者:泉鏡花
が滴ると言った状じゃ。 恋い慕うものならば、馬士でも船頭でも、われら坊主でも、
無下に振切って邪険にはしそうもない、仮令恋はかなえぬまでも、然るべき返歌はありそ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
非くわしい通信をと、つづけざまにお催促を受けましては、ツイその熱心にほだされて、
無下におことわりもできなくなって了ったのでございます。それに又神さまからも『折角....
「鯉」より 著者:岡本綺堂
第。桃井の屋敷は和泉屋によほどの前借がある。その主人がこうして頼むのを、弥三郎も
無下に刎ねつけるわけには行かなかった。そればかりでなく、如才のない三右衛門は小判....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
、ふだんから何かにつけて自分を優しく庇ってくれる小坂部がこう打ち付けて頼むのを、
無下に断わるのもまた心苦しかった。もう一つには、もともと、この事件は自分が発頭人....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
は充たすに足りなかったので、あたかも凱旋将軍を迎える如くに争い集まる書肆の要求を
無下に斥ける事も出来なかった。 折からあたかも官報局長は更任して、卓落|不覊な....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
働かせながら、山※の一件を注進したのである。 対手が余り熱心であるので、市郎も
無下に跳ね付ける訳にも行かぬ。 「然うかねえ。」と、軽く笑って、「僕等も小児の時....