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無二
「無二〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
無二の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
ちに一つになって、気の違ったようにわめきながら、十郎の倒れている前後をめぐって、
無二無三に打ち合い始めた。その中にまた、狩犬がけたたましく、血に飢えた声を響かせ....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
上りました。私は気の違ったように妻へ獅噛《しが》みつきました。そうしてもう一度|
無二無三《むにむさん》に、妻の体を梁の下から引きずり出そうと致しました。が、やは....
「河童」より 著者:芥川竜之介
んです。それから僕は三十分ばかり、熊笹《くまざさ》を突きぬけ、岩を飛び越え、遮二
無二《しゃにむに》河童を追いつづけました。
河童もまた足の早いことは決して猿《....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
れも彼の耳には、夢のようにしか聞えない。
人の身の丈《たけ》よりも高い高粱は、
無二無三《むにむさん》に駈けてゆく馬に踏みしだかれて、波のように起伏する。それが....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
利先生はいつもよりさらにしどろもどろになって、憐《あわれ》むべきロングフェロオを
無二無三《むにむさん》に訳読しようとした。「Life is real, life....
「女」より 著者:芥川竜之介
は猛然と、蜂の首もとへ跳《おど》りかかった。蜂は必死に翅《はね》を鳴らしながら、
無二無三に敵を刺《さ》そうとした。花粉はその翅に煽《あお》られて、紛々と日の光に....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
とわ》れば好《い》いとでも思ったのでしょう。いきなりその馬に跨《またが》って遮二
無二《しゃにむに》街道を走り出しました。そこまでは勇ましかったのに違いありません....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
の剣を抜いて、牛の吼《ほ》えるような声を挙げた。そうしてその声を挙げるが早いか、
無二無三《むにむさん》に相手へ斬ってかかった。彼等の剣は凄じい音を立てて、濛々《....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
たと云うことである。すると王城を忍び出た後、ほっと一息ついたものは実際将来の釈迦
無二仏《しゃかむにぶつ》だったか、それとも彼の妻の耶輸陀羅《やすだら》だったか、....
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
突きに脾腹《ひばら》を突かれたでしょう。いや、それは身を躱《かわ》したところが、
無二無三《むにむざん》に斬り立てられる内には、どんな怪我《けが》も仕兼ねなかった....
「或る女」より 著者:有島武郎
っては、抜け目のない世話女房になるくらいの事はなんでもなかった。妹たちもこの姉を
無二のものとして、姉のしてくれる事は一も二もなく正しいものと思うらしかった。始終....
「宣言一つ」より 著者:有島武郎
よることを余儀なくされた。単に余儀なくされたばかりでなく、それにたよることを最上
無二の方法であるとさえ信じていた。学者も思想家も、労働者の先達であり、指導者であ....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
うとする帆柱から身をかばった。人々は騒ぎ立って艪を構えようとひしめいた。けれども
無二無三な船足の動揺には打ち勝てなかった。帆の自由である限りは金輪際船を顛覆させ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
。 お前はまた私に帰って来る前に、お前が全く外界の標準から眼を退けて、私を唯一
無二の力と頼む前に、人類に対するお前の立場の調和について迷ったかも知れない。驀地....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
失って垂れ下った。肉体はややともすると後ろに引き倒されそうになりながら、心は遮二
無二前の方に押し進もうとした。 クララは半分気を失いながらもこの恐ろしい魔術の....