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「無体〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

無体の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
見ると、人はよく無意味な涙を流すものだと葉子は思った。けれどもあの涙も内田が無理無体にしぼり出させるようなものだと思い直すと、心臓の鼓動が止まるほど葉子の心はか....
星座」より 著者:有島武郎
には容易に専有《せんゆう》することのできない宝《たから》だと考えれば考えるほど、無体な欲求は激しくなった。教師としてこれほど信頼されているのをという後ろめたさを....
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
と思うほど、口説《くど》いて泣く。お前達二人がこれほどの語らいとは知らずに、無理無体に勧めて嫁にやったは悪かった。あア悪いことをした、不憫だった。民や、堪忍して....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
やに横柄に言って、もさりと歩行いて寄る。 なぜか、その人を咒ったような挙動が、無体に癪に障ったろう。 (何の車?)と苛々としてこちらも引返した。 (火の車。)....
疑問の金塊」より 著者:海野十三
なかったか。 (伝統の銀座を、横浜の奴等に荒されてたまるものかい) 若い私には無体にそいつが癪にさわった。私は覘う相手から、覘うものを捲きあげてしまわなければ....
奇賊悲願」より 著者:海野十三
ところを、貫一が透かしてみると、何のこと、さっき名乗った縞馬の刑事野郎であった。無体に癪にさわった。背中に大きなものを背負っているから駆け出すわけにもいかない。....
宇宙尖兵」より 著者:海野十三
してみた。扉は錠が下りているらしく、押せども蹴れども、開きはしなかった。 もう無体に癪にさわってきて、そこらにある什器家具を手あたり次第にぶち壊してやろうかと....
南地心中」より 著者:泉鏡花
。 一座の末に、うら若い新夫婦は、平伏していたのである。 これより先、余り御無体、お待ちや、などと、慌しい婦まじりの声の中に、丸官の形、猛然と躍上って、廊下....
アグニの神」より 著者:芥川竜之介
ても、妙子の命はなくなります。遠藤は咄嗟に身を起すと、錠のかかった入口の戸を無理無体に明けようとしました。が、戸は容易に破れません。いくら押しても、叩いても、手....
狂女」より 著者:秋田滋
のほうに向けた。が、うんとも答えなかった。 将校はなおも語をついで云った。 「無体もたいていにしてもらいたいね。もしもあんたが自分から進んで起きんようじゃった....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
いる。彼の館もやはり堀川のうちにあって、むかしは然るべき殿上人の住居であったのを無体に横領して、車寄せを駒寄せに作り変えたのであった。 「権右衛門、来たか。これ....
式部小路」より 著者:泉鏡花
だというお夏さんを、たとい親だって好くいおうか。 まして、繻子の襟も、前垂も、無体平生から気に入らない、およそ粋というものを、男は掏摸、女は不見転と心得てる、....
活人形」より 著者:泉鏡花
返済せ。「今といっては何ともどうも。「じゃ訴えて首にしようか。「それはあんまり御無体な。「ええ! 面倒だ。と立懸れば、「まあ、待ってくれ。と袂を取るを、「乞食め....
和製椿姫」より 著者:大倉燁子
奴で、僕はまだ会ったことはないのだが、美耶子を自分が引取って世話をしたいなんて、無体な生意気な手紙をよこしたんです」と云って、彼は次の間にたって、抽斗を開けたり....
蛇性の執念」より 著者:大倉燁子
二た目と見られない癩病患者のようになるのと、そろそろ大奥様をお脅かしになり、遂々無体な真似をなさろうと遊ばすので、大奥様は急に怖しくなって、その場を逃げ出そうと....