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無償
「無償〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
無償の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「小作人への告別」より 著者:有島武郎
です。で、私は母や弟妹に私の心持ちを打ち明けた上、その了解を得て、この土地全部を
無償で諸君の所有に移すことになったのです。
こう申し出たとて、誤解をしてもらい....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
進んでやりたがった。しかし、報酬はあてにせず、いわば孤児の感情のさびしさがさせる
無償の献身であった。十二の小娘にしては、荷の重すぎるスリの尾行という仕事も、だか....
「さようなら」より 著者:田中英光
に辛く恥かしく厭らしくても、生きて努力するのがぼくたちの義務と責任である。或いは
無償の行為に似た美徳でもある。決してあっさり、この世に、「さようなら」を告げては....
「鰊漁場」より 著者:島木健作
っくの昔に一文のこらず使いはたしていた。明日からの三ケ月間のはげしい労働がまるで
無償労働のような気がして、重くるしい気分に引ずりこまれるのだった。 帳場をうし....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
不可能である、という言葉で言い表わしてもよい。この言葉の中には、仕事というものは
無償では得られないものだ、ということに対するこの工学者の堅い信念が現われているの....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
感ずる。 それに引きかえて、自分への興味のために、父の旧式水泳場をこの材木堀に
無償で置いてくれ、生徒を世話してくれたり、見張りの船を漕いでくれたりして遠巻きに....
「工場細胞」より 著者:小林多喜二
と思っているの。五十銭から七八十銭。月いくらになるか直してごらんよ。――淫乱なら
無償でやらせらアねえ! お君は飯が終って立ちかけながら、上から浴びせかけた。そ....
「光は影を」より 著者:岸田国士
一期の資金にあてるつもりであつた。岐阜の養蜂家の猪狩氏が、彼の熱意に動かされて、
無償で良種の種蜂を数群分けてくれ、その上、必要な器具材料を実費で供給してくれるこ....
「特攻隊に捧ぐ」より 著者:坂口安吾
死と必死に戦い、国にいのちをささげた苦悩と完結はなんで人形であるものか。 私は
無償の行為というものを最高の人の姿と見るのであるが、日本流にはまぎれもなく例の滅....
「巡回書庫と町村図書館と」より 著者:佐野友三郎
求を待たず、本館より自ら進みてこれを供給するものなれば、郡市は自ら受働的となり、
無償にて得らるるがために、あるいはこれを藐視することなきか。余等は、郡市が社会の....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
ものは真先にという気風ではありませんでしたが、大学教授でしたので、電話は願出れば
無償で引いてもらわれたのです。その電話の出来た始めの頃でした。郷里の若い娘の勤口....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
移住し、特定地の貸付をうけ、五ヵ年の間にその六割以上を開墾し終る時は、その土地を
無償で附与をうけ、忽ち五町歩乃至十町歩の地主となるを得、又資金十分なるものは二十....
「東洋文化史における仏教の地位」より 著者:高楠順次郎
ことは一切しない。殊にシナの中立地帯からたとえそれが大切なものであっても、これを
無償で取るということは一切出来ない、これは陛下の思召しと雖もお断り申してくれ」と....
「賤民概説」より 著者:喜田貞吉
する役員を置いて取り締らせたが、これをすべて非人と呼んでいた。もちろん彼らとて、
無償で養ってもらったのではない。労働しうるものにはそれぞれ適当なる職を与えて、生....
「色盲検査表の話」より 著者:石原忍
得ず邦文の色盲検査表を出版しておりました半田屋書店に頼みまして、印刷部数の一割を
無償で著者に提供するという条件で六百部印刷をしてその六十部をもらい受け、更に三十....