無口[語句情報] » 無口

「無口〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

無口の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
疑惑」より 著者:芥川竜之介
上げますのも、異なものでございますが、至って素直な、はにかみ易い――その代りまた無口過ぎて、どこか影の薄いような、寂しい生れつきでございました。が、私には似たも....
一夕話」より 著者:芥川竜之介
にだったんだ。」 「しかしまあ哲学通りに、飛び下りなかっただけ仕合せだったよ。」無口な野口も冗談をいった。しかし藤井は相不変《あいかわらず》話を続けるのに熱中し....
仙人」より 著者:芥川竜之介
段の上に置いたまま、対等な語《ことば》づかいで、いろいろな話をした。 道士は、無口な方だと見えて、捗々《はかばか》しくは返事もしない。「成程な」とか「さようさ....
或る女」より 著者:有島武郎
なったもんですから、無理にお願いして帰って来てしまいましたの」 愛子はふだんの無口に似ずこういう事を話す時にはちゃんと筋目が立っていた。葉子には愛子の沈んだよ....
守の家」より 著者:伊藤左千夫
アなア。ねえやはいままでどいってた……」 と繰返し云って、袖にすがられた時に、無口なお松は自分を抱きしめて、暫《しばら》くは顔を上げ得なかったそうである。それ....
深夜の市長」より 著者:海野十三
と、僕は手をとっている女の子を顧みていった。 「……唱歌じゃないわよ」と突然無口かと思った子供が物をいった。「これ、淡海節ヨ」 「ええッ。――」僕は彼女が物....
三人の双生児」より 著者:海野十三
せて、妾の腹部を覗いたり、写真を撮ったりした。その間、彼はまるで人が違ったように無口だった。 それが済むと、彼は始めて微笑を浮べながら、妾を労らった。それから....
宇宙尖兵」より 著者:海野十三
おとばしにならないようにお願いします」 イレネは、そういい終ると、例の如く全く無口となって廻れ右をし、部屋を出ていこうとするので、僕は立ち上って、戸口に立ちは....
火星兵団」より 著者:海野十三
いますぞ」 と、博士は、ロロ公爵とルル公爵の手をにぎってはげました。 いつも無口のルル公爵も、 「蟻田博士、ご恩のほどはわすれません。たとえ、これでうち死し....
棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
――」 男は、女の束髪すがたを、目をまるくしてみつめていた。 「あんたってば、無口なひとネ」 「いや、感きわまって、声が出ない」 男は両手を拡げた。 女は....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
せん。中肉で、脚のすらりと、小股のしまった、瓜ざね顔で、鼻筋の通った、目の大い、無口で、それで、ものいいのきっぱりした、少し言葉尻の上る、声に歯ぎれの嶮のある、....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
けたことなしさ。学校がひければ、ちゃんともう、道寄もしないで帰って来る。もっとも無口の人だから、口じゃ何ともいわないけれど、いつもむずかしい顔を見せたことはなし....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
言いますわいの。それはの、言うわけがあるからで。 けれども、あの女は、じたい、無口で、しんみりで、控目で、内気で、どうして思う事を、さらけ出いて口で云えるよう....
阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
うと無かろうと、阿Qはたちまち頭じゅうの禿を真赤にして怒り出し、相手を見積って、無口の奴は言い負かし、弱そうな奴は擲りつけた。しかしどういうものかしらん、結局阿....
豊島与志雄氏の事」より 著者:芥川竜之介
た。それが豊島だった事は、云うまでもなかろう。何でもその時は、大へんおとなしい、無口な人と云う印象を受けた。それから、いゝ男だとも思ったらしい。らしいと云うのは....