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「無常観〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

無常観の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
さようなら」より 著者:田中英光
さようなら」とは、さようならなくてはならぬ故、お別れしますというだけの、敗北的な無常観に貫ぬかれた、いかにもあっさり死の世界を選ぶ、いままでの日本人らしい袂別《....
日本人の自然観」より 著者:寺田寅彦
ろいろの因子が日本の風土に適応したためでなければなるまい。思うに仏教の根底にある無常観が日本人のおのずからな自然観と相調和するところのあるのもその一つの因子では....
俳句の精神」より 著者:寺田寅彦
的にそうなるべき理由があった。すなわち仏教伝来以後今日まで日本国民の間に浸潤した無常観が自然の勢いで俳句の中にも浸透したからである。しかし自分の見るところでは、....
私たちの建設」より 著者:宮本百合子
命を失いさえしなければならなかった。国内の社会事情の矛盾から、文学上には、一種の無常観、俳句において代表されている「さび」の感覚などのうちに退嬰《たいえい》し、....
狼疾記」より 著者:中島敦
、頭の中だけで造り上げられた少年の虚無観に、今や、実際の身辺の観察から来た直接な無常観が加わって来たのだ。麾下《きか》数万の軍勢を見渡しながら、百年後にはこの中....
徒然草の鑑賞」より 著者:寺田寅彦
れる所以を悟ることが出来よう。 このような思想はまた一面において必然的に仏教の無常観と結合している。これは著者が晩年に僧侶になったためばかりでなく大体には古く....
だいこん」より 著者:久生十蘭
い美しい合唱をいつかスイスできいたことがあった。いまさら聖歌でもないけど、仏教の無常観なんか、この際、迷惑だ。歌詞にしたって、今日のあたしたちの生活に役立つなん....
春宵因縁談」より 著者:佐藤垢石
古い小倉の袴の腰板の縁をとおして袷へ泌み込み、背の肌に生温かく感じた。と、同時に無常観が頼母木の頭を掠めた。次の瞬間には、清徹な神気が激しく反発していた。 葦....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
なきように、ひそまり切っていた。 無心な松風や草のそよぎが、ただ遽かに、人間の無常観をふくだけだった。 ――武蔵は。 一朶の雲を、見ていた。ふと見たのであ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
いなかった。 彼の悲泣は絃に宿って人の世の黒業白業を傷む曲となっていた。単なる無常観に終り切れないで、如法長夜の闇にもなお朝の光を待ってやまないもの。それが明....
随筆 私本太平記」より 著者:吉川英治
時代が下がるし、人の考え方や世の中も一変している。平家には見えたあの優雅な人々の無常観も“あわれ”さもまた文章の詩趣も至って乏しい。総じて文学価値としては古典平....
随筆 新平家」より 著者:吉川英治
の手向けの句と、まさに傷みを一つにしている。それはまた、平家物語をつらぬいている無常観や、平和への祈りや、あわれを歌う、人間|業の懺悔とも通じているものである。....