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「無念無想〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

無念無想の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
なわなる朧月夜に、塩竈通いのそそり節が生暖い風に送られて近くきこえた時、若い尼は無念無想で経を読んでいられたであろうか。秋の露の寒い夕暮れに、陸奥へくだる都の優....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
辺は静かである。 「ああいい天気だ。秋に違えねえ」 眼を細め眉を垂れ、甚太郎は無念無想、ぼんやり湖面を眺めやった。 水に沈み水に浮き、パッと飛び立ち颯と下り....
不尽の高根」より 著者:小島烏水
アブに気がついたほど、まだ余裕があったが、アブの方では、人間などに傍目も触れず、無念無想に花の蜜の甘美に酔っている。だが遂にアブばかりでなかった、石楠花の甘ずっ....
霊魂第十号の秘密」より 著者:海野十三
の上に組んだ。それから両手を軽く握り目をうすく開いて、姿勢を正した。彼はたしかに無念無想の境地《きょうち》にはいろうとしているのが分った。隆夫のたましいは、これ....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
な欠伸をしたり、そうしていつも用のない時にはうつらうつらと眼をとじて、よく云えば無念無想、悪く云えば茫然していた。 「武道の麒麟児と思ったに葉之助殿はお人好しだ....
神サマを生んだ人々」より 著者:坂口安吾
に知った顔が見えませんか」 こう云われて、二人がその場所を見ると、そこに坐って無念無想の如くに呪文を唱え腕をふりまわしているのは川野水太郎の奥さんだ。それを見....
釣り師の心境」より 著者:坂口安吾
、とにかく景色がいゝ。渓流とか、海とか、釣りなどゝいうものは風流人のやることで、無念無想、風光にとけこんでいる心境かと思ったら、とんでもない話なのである。土堤の....
桂馬の幻想」より 著者:坂口安吾
もりであるが、あべこべに自分の命とりになりかねない懸念もあった。しばしの息ぬきに無念無想の道をあるいていたつもりでも、その桂ハネが頭の底にからみついていたのだ。....
」より 著者:秋田滋
たって、陪審員が再び法廷に戻って来た時には、被告はいささかも悪びれる容子はなく、無念無想、もはや何事も考えてさえいないように見えた。 裁判長はやがて法廷の慣用....
戯作者」より 著者:国枝史郎
て教授した。型の修行が積んだ所で又七郎は又云った。 「極意に悟入する必要がある。無念無想ということだ」 「無念無想と申しますと?」 馬琴にはその意味が解らなか....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
ない!」と彼はその突嗟、自分の心を緊張めた。「考えてはいけない考えてはいけない。無念無想、一念透徹、やっつけるより仕方がない」 で彼は自分の構えを、一層益※か....
接吻」より 著者:神西清
べて進んでいる将校が、しきりに自分に話しかけて来るのを、てんから聴こうともせず、無念無想の境にあって、むさぼるように瞳を凝らし、遥か彼方にきらきらしている川や、....
安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
なく、ただハッキリとホルモン焼き。しかもどの労働者もヒジをはり顔を皿にくッつけて無念無想にムシャぶりついているのだ。みんな淀橋太郎である。煙りも匂いもムシャぶり....
寒鮒」より 著者:佐藤垢石
から浮木や穂先の動きも極めて微かであるから、これを見のがすと釣れないことになる。無念無想、微動だものがさじと水面と竿先へ見入るのである。 仕掛けの全長は竿より....
棲霞軒雑記」より 著者:上村松園
人が松風の音を聞きながらせまい茶室に座しているのも、禅を行なう人がうす暗い僧堂で無念無想の境に静座しているのも、画家が画室で端座しているのも、その到達する境地は....