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「無慚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

無慚の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
、掻巻の袖を辿って来て、和かに面を撫でる。 それを掻払うごとく、目の上を両手で無慚に引擦ると、ものの香はぱっと枕に遁げて、縁側の障子の隅へ、音も無く潜んだらし....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
三度めぐりて黄銅のときとなりぬ。 心荒々しく武器を取る手もいと疾く、 されどなお無慚の心はなかりき。恥知る心、規律と正義の 失せ果てしは四度目の世となりしとき、....
蠅男」より 著者:海野十三
キラリと閃いた或る光景があった。それは糸子が宙に吊りあげられているという、見るも無慚な姿だった。彼女の白い頸には、一本の綱が深く喰いこんでいるのである。…… (....
死体蝋燭」より 著者:小酒井不木
ているかもしれんが、わしは阿弥陀様の前では、じっとして坐っておれぬくらいの、破戒無慚の、犬畜生にも劣る悪人だよ」 「えッ?」 あまりに意外な言葉に法信は思わず....
幽霊船の秘密」より 著者:海野十三
えにおちてくるか分らないのだ。 古谷局長は、さっきからだまりこくって、二号艇の無慚な光景にむかっていた。彼は、あの二号艇にのりこんでいた部下の丸尾技士の安否に....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
あれに飛行島が見えます。あ、なんという惨状!」 さすがの長谷部少佐も、あまりの無慚な飛行島の有様に眼を蔽いたいほどだった。 「うむ、こいつにほんとうに向かって....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
を切って、ひらりと翻った。古今の手練、透かさぬ早業、頭を倒に、地には着かぬ、が、無慚な老体、蹌踉となって倒れる背を、側の向うの電信柱にはたとつける、と摺抜けに支....
南地心中」より 著者:泉鏡花
た、神経のとげとげした、狼の手で掴出された、青光のする腸のように見えて、あわれに無慚な光景だっけ。」 「……へい、そうですかね、」と云った男衆の声は、なぜか腑に....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
ず、ひたひたと身に着いた霞のような衣をぞ絡う。 と見ると、乳の辺、胸へ掛けて、無慚や、颯と赤くなって、垂々と血に染まった。 枕に響いた点滴の音も、今さらこの....
星女郎」より 著者:泉鏡花
自分の声が高かった。 「誰も居ないな。」 美女の姿は、依然として足許に横わる。無慚や、片頬は土に着き、黒髪が敷居にかかって、上ざまに結目高う根が弛んで、簪の何....
銅銭会事変」より 著者:国枝史郎
う径路で将軍家をどうして奪ったかわからない。どこに将軍家を隠しているか、それとも無慚に弑したか、これでは一向見当が付かない。……一人でもよいから銅銭会員をどうと....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
拷問の責苦に遇い、その果はとうとう屋形のうしろの断崖から突き落されてこと切れた。無慚な伝説であるが、伝説はまだ終らない。名家の屋形にはけちがついたのである。姫の....
銀三十枚」より 著者:国枝史郎
た皺だらけの貧相な顔が、その貨幣には打ち出されてあった。ヘロデ王の兇刃によって、無慚に殺された使徒ヤコブ、その肖像に相違なかった。 もう一つの貨幣を取り上げて....
太陽系統の滅亡」より 著者:木村小舟
心迄、冷えきった時は、宇宙の一辺には、偉大なる怪球どもの残骸が横たわって、見るも無慚なる有様となる」 時に一人は叫んだ。 「君よ、太陽系はかくのごとくして全く....
春泥」より 著者:久保田万太郎
た昨夜の美しい銀世界のさまはすでになく、どこをみても沼のようなぬかるみの、しかも無慚に蹴返されふみかえされた泥の中を、若い役者らしい見得もかざりもなく、不恰好な....