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無慾
「無慾〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
無慾の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
に意中の人を持っているなということだった。恋に酔っている女性ほど、他の男に対して
無慾に見えるものはない。おぬいさんの無邪気らしさに欺《あざむ》かれかけたのはあま....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
歳に十も年上の未亡人に女というのを知らされてから今日まで、彼の美貌と孤独な境遇と
無慾な性格に慕い寄る女たちの間を、転々と移っている間に、もう自分はどんなことがあ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
い。 夫の理学士は、多年西洋に留学して、身は顕職にありながら純然たる学者肌で、
無慾、恬淡、衣食ともに一向気にしない、無趣味と云うよりも無造作な、腹が空けば食べ....
「桶狭間合戦」より 著者:菊池寛
しなければ諸人誠をもって仕えない、ただ才智|許りでなく度量を広く持たれます様に、
無慾にして依古贔屓があってはならない、能才を見出さなければならない、 武のみで....
「黄鳥の嘆き」より 著者:甲賀三郎
、凡そ僕とは対蹠的な人間だったからだった。もし、彼がもっと典雅で、慎しみ深くて、
無慾|恬淡だったら、僕は夙うに彼に二川家を譲っていたかも知れぬ。何故なら彼こそ、....
「骨董」より 著者:幸田露伴
秀吉はエライ人間をつかまえて不換紙幣発行者としたもので、そして利休はまたホントに
無慾でしかも煉金術を真に能くした神仙であったのである。不換紙幣は当時どれほど世の....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
者、虚無|恬淡《てんたん》を旨とする、老子の哲学を遵奉《じゅんぽう》するもので、
無慾でなければならない筈だ。ところが例の鉄拐夫人、
無慾でもなければ恬淡でもない。....
「第四次元の男」より 著者:海野十三
る結果であろう。ところが、このわたくしは、そういう賢明人種とはちがい、至って生来
無慾|恬淡の方であるからして、なにごとも構わずぶちまけて、一向に憚らない次第であ....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
枚の五円紙幣に電気アイロンをあてて見る気にはなれない。 しかしその老人は全くの
無慾の状態において、専念紙幣に焼鏝をあてていたが、彼はそれによって世を忘れ、時を....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
ラトン、ヨハネ、ポーロ、――此等は皆真理の開拓者であり、進歩の使徒であり、極度に
無慾純潔、少しも驕慢、自負、自家宣伝等の臭味がなかった。それでこそ、あれほどの仕....
「中庸」より 著者:坂口安吾
気もさることながら、逆さにふっても血もでない村の財政である。それにつけても、彼の
無慾な奉公ぶりは偉とするに足る。彼の東奔西走は一貫して手弁当であった。 彼の怒....
「死と影」より 著者:坂口安吾
のヤマサンは、常に身だしなみよく、かりそめにも、衣服をくずしたことはない。然し、
無慾の点については、三平に似ていた。二人の魂は、無のどん底に坐りついていたのであ....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
、この人物であったればこそ、北辰一刀流は繁昌し、千葉道場は栄えたのであった。性来
無慾|恬淡であったが、その代りちょっと悪戯好きであった。で、田舎者の姿を見るとニ....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
でそう恬淡では困るじゃないか。どうやら君はここへ来る時詩を微吟していたらしいが、
無慾の君のことだから、『|贈僧』という杜荀鶴の詩でも、暗誦していたんじゃあるまい....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
ように澄んでいなければならないからね。それでも書ならば陶然として書き飛ばすがね。
無慾|恬淡だね。とすると歌なぞの時は少々固くなり過ぎるかも知れないな。もっとも書....