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無我夢中
「無我夢中〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
無我夢中の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「影」より 著者:芥川竜之介
、寸刻もたゆまない凝視の眼を房子の顔に注いでいる。彼女は両手に顔を隠すが早いか、
無我夢中に叫ぼうとした。が、なぜか声が立たない。その時彼女の心の上には、あらゆる....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
。牛飼いの若者はその火に毛脛《けずね》を焼かれながら、悲鳴を挙げて飛び起きると、
無我夢中に高這《たかば》いをして、裏手の方へ逃げ出そうとした。
怒り狂った素戔....
「溺れかけた兄妹」より 著者:有島武郎
るい考えだったようです。
でもとにかくそう思うと私はもう後《うしろ》も向かずに
無我夢中で岸の方を向いて泳ぎ出しました。力が無くなりそうになると仰向《あおむけ》....
「鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
の壁に一度当ってから、足許にゴロゴロ転がって来た。いま僕は生死の境に立っていた。
無我夢中に、どこをどう突走ったか覚えがないが、建物の外へ出ると、真暗な庭にとびだ....
「恐しき通夜」より 著者:海野十三
ていた。が、どんな隙があったのだろうか、学士は両手を大尉の股間にグッと落とすと、
無我夢中になって大尉の急所を掴んだのだった。 「ウーム」 と大尉が呻った。彼の....
「鬼仏洞事件」より 著者:海野十三
、その場を足早に立ち去った。しかし、彼女の心臓は、早鉦のように打ちつづけていた。
無我夢中で、二三丁ばかり、走るように歩いて、彼女はやっと電柱の蔭に足を停めた。腕....
「火星兵団」より 著者:海野十三
とかして、早いところ、相手をたおしてしまわねばならぬ!)
佐々刑事は、だんだん
無我夢中になって来た。どこか、相手の隙はないか。
そう思っている時、彼は、一つ....
「怪塔王」より 著者:海野十三
(なに、これしきのことで、へたばってたまるものか!) とみずから気をひきたて、
無我夢中に着陸をしたものと思われます。 そこは砂浜とはいえ、やはり大地のことで....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
へ置かれるものらしい。俺も矢張りその仲間で、死んでからしばらくの間何事も知らずに
無我夢中で日を過した。尤も俺のは、敵の手にかからない為めの、言わば武士の作法に協....
「醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
した。そしてこの翼はどんどん彼を前へ前へと進めてくれます。で、とうとう、まだ彼が
無我夢中でいる間に大きな庭の中に来てしまいました。林檎の木は今いっぱいの花ざかり....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
、取って附けたような御時宜をすると、どんどん線路伝いに走り出した。 良平は少時
無我夢中に線路の側を走り続けた。その内に懐の菓子包みが、邪魔になる事に気がついた....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
た方が当るかも知れぬ――ある百姓心理のこり固まりなのだ。 彼らは最初、きまって
無我夢中に働く。馬車馬のように向う見ずに働いて働いて働き抜くのである。病気という....
「苦楽」より 著者:上村松園
をはりあげて、自分ながら楽しく謡い終わるという次第です。 私の謡い方が、まるで
無我夢中で、少々節回しなどはどうあろうと、一向構わず、堂々とやっているには呆れる....
「迷信解」より 著者:井上円了
の目に触れざりしゆえならん。しかして、本人は故意に隠れたるにあらずして、もとより
無我夢中の所為なれば、一時の発狂と見なければならぬ。かかる発狂談を一度なり二度な....
「私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
が高い所に居ならんでいる。原稿を持って出たが、これを読むだけの気持の余裕がなく、
無我夢中、やたらにカン高い声でしゃべってしまったが、わが生涯最初の演説はさんざん....