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「無技巧〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

無技巧の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
少年」より 著者:芥川竜之介
々のリアリズムも甚だ当《あて》にならぬと云うほかはない。かたがた保吉は前のような無技巧に話を終ることにした。が、話の体裁《ていさい》は?――芸術は諸君の云うよう....
或る女」より 著者:有島武郎
んみ》に持ちかけてみたり、よそよそしく取りなしてみたり、その時の気分気分で勝手な無技巧な事をしていながらも、どうしてものがれ出る事のできないのは倉地に対するこち....
満韓ところどころ」より 著者:夏目漱石
き上っていないから、むやみに車の上で踊をおどる苦痛はないが、その引き方のいかにも無技巧で、ただ見境《みさかい》なく走《か》けさえすれば車夫の能事畢《のうじおわ》....
奥様探偵術」より 著者:夢野久作
ッタ一つの技巧しかありませんでした。 ……スマアしてニコニコしている……という無技巧の技巧…… マダムはうしろ暗いところがないだけに、この無技巧の技巧を、御....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
て行って、そこで落付いてから、また今更のように恐怖の感情を眼の色に迸らした。その無技巧の丸い眼と、特殊の動作とから、復一の養い親の宗十郎は、大事なお得意の令嬢だ....
女肉を料理する男」より 著者:牧逸馬
こと、これほど玄妙《げんみょう》なやつは前後に比を見ないといわれている。いわゆる無技巧の技巧、なんら策を弄《ろう》さないために、かえって一つの手がかりすら残さな....
伸子」より 著者:宮本百合子
で、どんどん立ち昇る水蒸気の揺れが、明るく白い中にも見えた。伸子は困ったあげく、無技巧な一本調子で云った。 「――私は佃さんを愛しています」 「……そうでしょう....
放浪の宿」より 著者:里村欣三
動な表情で虱を殺しつづけた。 「有難うよ!」 若者は訳の判らない感動で、反って無技巧な言葉を単純な感激で押し出してしまった。新聞紙をめくって黒パンを手にした。....
大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
程にある国ではまだ歴史が浅く古き伝統が日本の空気に溶解していないがために、全くの無技巧者が非常な芸術を生む事にまでは到達していないようである。 日本にはまだ、....
源氏物語」より 著者:紫式部
った。院も時々扇を鳴らしてお加えになるお声が昔よりもまたおもしろく思われた。少し無技巧的におなりになったようである。大将も美音の人で、夜のふけてゆくにしたがって....
津田青楓君の画と南画の芸術的価値」より 著者:寺田寅彦
の目録の序で自白しているように「技巧一点張主義を廃し新なる眼を開いて自然を見直し無技巧無細工の自然描写に還り」たいという考えをもっている人である。作画に対する根....
歌集『涌井』を読む」より 著者:和辻哲郎
たくしには、あの淡々とした透明な感じが実にありがたい。 しかしこれは先生の歌が無技巧だなどということではない。あれほど一字一句の使い方、置き方に気を配った歌、....
古寺巡礼」より 著者:和辻哲郎
まずしてさわやかな諧調を保っている。肉づけは後期印象派の画に見受けられるような、無技巧のおもしろさを現わしているともいえる。こういう特徴は、アジャンターの壁画を....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
庵は、こういうことをその間に感じた。彼の吹いている尺八には、非詩人の詩のように、無技巧な真情がある。平仄には合っていないが、どういう気もちで吹いているか、その心....
最近の犯罪の傾向に就て」より 著者:野村胡堂
本でも、徳川時代に詐偽のものを書いたものがあるが面白い。 近頃の日本の犯罪は、無技巧な野蛮な感じを窺える。国民性の粗雑な、むき出しの気持を暴露したものでうとま....