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「無月〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

無月の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
たいせき》だった。大煙筒から吐き出される煤煙《ばいえん》はまっ黒い天の川のように無月《むげつ》の空を立ち割って水に近く斜めに流れていた。 一三 そこだけは....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
ひときわぎらぎらと光っていた。星は語らない。ただはるかな山すそから、干潮になった無月の潮騒が、海妖の単調な誘惑の歌のように、なまめかしくなでるように聞こえて来る....
クララの出家」より 著者:有島武郎
たたいてから静かに部屋を出て行った。 クララの枕はしぼるように涙に濡れていた。無月の春の夜は次第に更けた。町の諸門をとじる合図の鐘は二時間も前に鳴ったので、コ....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
家人たちは内職ですが、御家人も上等の部に属する人や、または旗本衆になると、大抵は無月謝です。旗本の屋敷で月謝を取ったのは無いようです。武芸ならば道場が要る、手習....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ろをみるてえと、いくらか名人気質の野郎かなと思って探ってみたら――」 「桃華堂の無月だといやしねえか!」 「気味がわるいな。そうなんですよ! そうなんですよ! ....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
で、皆迷惑したと見えて、今年から月番を諭旨免職になった。儂自身の眼から見る儂は、無月給の別荘番、墓掃除せぬ墓守、買って売る事をせぬ植木屋の亭主、位なもので、村の....
春昼」より 著者:泉鏡花
合わせの、模様はちょっと分らなかったが、お太鼓に結んだ、白い方が、腰帯に当って水無月の雪を抱いたようで、見る目に、ぞッとして擦れ違う時、その人は、忘れた形に手を....
路傍の草」より 著者:寺田寅彦
って半日をはなはだしくのんきに遊んで夕飯を食った。ちょうど他には一人も客がなくて無月の暗夜はこの上もなく閑寂であった。飯がすんでそろそろ帰ろうかと思っていると、....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
ていない。したがって、この集にも神仙談は多く採らなかった。 昭和十年九月、古中秋無月の夕 岡本綺堂....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
束をつけた神主が玉串をささげて祝詞をささげたが、冒頭に、 秋山にもみぢ葉燃ゆる神無月、大神のみ前につつしみて申さく、氏子、倉田大人、みめぐみもて、うから健かに、....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
えん唐衣、錦の心を持ちながらも、襤褸に劣る身ぞと、人目に見ゆる情けなや、ころは神無月の夜なりしが、酒をとうべてヒョロヒョロと……」でたらめの謡をうたいながら、佐....
米国巡回文庫起源及び発達」より 著者:佐野友三郎
を制限するの便利あり。…… 巡回文庫は日曜、夏期、冬期等の休業なく、昼夜間断なき無月謝の学校にして、老幼男女に鼓吹と教訓と娯楽とを与えしかもその課程は、庖厨にあ....
詩語としての日本語」より 著者:折口信夫
鄭重な言い廻しではあるが、極めて皮肉な語気を以て噂した(明星)。 たとえば「青水無月――日本的に言えばくどき節――の臭気をさえ深く帯びて居た。言葉の排列が、独立....
叔父と甥と」より 著者:岡本綺堂
かりし秋の空の低く垂れたり。 魂よばひ達かぬものか秋の空 わが仏ひとり殖えたり神無月 この夕、少しく調ぶることありて、熊谷陣屋の浄瑠璃本をとり出して読む。十六....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
笛一声を放ちてこれを報ず。これより船員の妖怪行列ありて、一大喝采を博せり。海上は無月暗黒、ただ中天に点々、四、五の星宿を認むるのみ。 自。 (日本を旅立ってから....