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無欲
「無欲〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
無欲の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
を言いながら、悠々と腰を据えて話し込んでいた。寺は下谷にあるが、今どきに珍らしい
無欲の僧で、ここらは閑静でいいと頻《しき》りに羨ましそうに言った。 「おお、池の....
「善の研究」より 著者:西田幾多郎
静とが最上の善であると考えた。その結果犬儒学派と同じく、凡ての情欲を排斥して単に
無欲 Apathie たらんことを務むるようになった。エピクテートの如きはその好....
「川中島合戦」より 著者:菊池寛
ん。怒りに乗じて為したまうこと、多くは僻事なり。これその悪しき所なり。勇猛にして
無欲清浄にして器量大、廉直にして隠すところなく、明敏にして能く察し、慈恵にして下....
「鼻の表現」より 著者:夢野久作
いくらでもあります。 高利貸のような凄い鼻を持っている人でも交際って見ると存外
無欲な人であったり、チョイとした愛嬌タップリの鼻の持主でも意想外に兇暴残忍な奴が....
「『土』に就て」より 著者:夏目漱石
したのである。彼等の下卑で、浅薄で、迷信が強くて、無邪気で、狡猾《こうかつ》で、
無欲で、強欲で、殆《ほと》んど余等(今の文壇の作家を悉《ことごと》く含む)の想像....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
愛せられなかった。芸術のうちに快楽の道具をしか求めていないような著作家らが、無私
無欲な宗教の牧師らしいふりを装《よそお》うのを見るくらい、彼の気色を害するものは....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
々の役目を引き受けてそれを演じている。不思議なことには、そういう実生活にたいする
無欲さは、彼らのうちの多くの者に――かなり知力ありまた往々かなり真面目《まじめ》....
「正覚坊」より 著者:豊島与志雄
が一緒になったものですから、いくら酒があってもすぐになくなってしまいます。平助は
無欲ですから、お金をためようなどとは思いませんでしたけれど、正覚坊と二人で充分に....
「智恵子の半生」より 著者:高村光太郎
であった。私はそんな事は知らなかったが、此の宿の滞在中に見た彼女の清純な態度と、
無欲な素朴な気質と、限りなきその自然への愛とに強く打たれた。君が浜の浜防風を喜ぶ....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
うに、古典劇の名手として一部の賞讃を博し得たであろうが、彼はすべてにおいて余りに
無欲|恬淡、殆んど一種の仙人か子供のようであったらしい。かれは幼年時代に木から墜....
「自由なる空想」より 著者:小川未明
激は、その作家の人格であろう。 世に、相許さざるものがある。強権と友愛、所有と
無欲、これである。平和への手段として、強権を肯定することは、畢竟、暴力の讃美に他....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
、どうしても」 「おそれいりますが」 「困ったもんだな。断るにも、文句がないよ。
無欲なのか、阿呆なのか。わしでも、腹が立つものを」 ――が、ぜひもなかった。妙....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
三ツを賞めて、一は生死に超脱している、二には慈悲心ふかく人の非もよく宥す、三には
無欲|恬淡で物に慳貪の風がない――と。その通りでございましょうか」 答「御長所....
「大岡越前」より 著者:吉川英治
きびしく催促した。しかし、容易にその検挙は実現しなかった。理由は、事件がまったく
無欲の行為に依るからだといわれた。そのために、ほとんど、足どりとか贓品の経路とか....