無残[語句情報] » 無残

「無残〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

無残の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
飽きたらない。それを黙って見る実の母の、猪熊《いのくま》のばばもまた、畜生より、無残なやつだ。こう思ったおれは、あの酔いどれのおやじの顔を見るたびに、何度|太刀....
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
たまま、僅三時《わずかみとき》ばかりの間に、何とも申し上げる語《ことば》もない、無残な御最期《ごさいご》でございます。その時の悲しさ、恐ろしさ、勿体《もったい》....
じゅりあの・吉助」より 著者:芥川竜之介
その日彼は町中《まちじゅう》を引き廻された上、さんと・もんたにの下の刑場で、無残にも磔《はりつけ》に懸けられた。 磔柱《はりつけばしら》は周囲の竹矢来《た....
」より 著者:芥川竜之介
《ひざまず》くと、そっとその細い頸《くび》へ手を廻した。それから頸に残っている、無残な指の痕《あと》に唇を当てた。 明い電燈の光に満ちた、墓窖《はかあな》より....
或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
啣《くわ》えたまま、もう火のはいった行燈《あんどう》の前に、刀を腹へ突き立てて、無残な最後を遂げていた。甚太夫はさすがに仰天《ぎょうてん》しながら、ともかくもそ....
或る女」より 著者:有島武郎
た。重い砂土の白ばんだ道の上には落ち椿《つばき》が一重《ひとえ》桜の花とまじって無残に落ち散っていた。桜のこずえには紅味《あかみ》を持った若葉がきらきらと日に輝....
星座」より 著者:有島武郎
か分らなかった。……とうとうそのえらあい若者は、日本服の改良を仕遂げないうちに、無残にも谷底へすべり落ちて死んでしまったんだ。なんぼう気の毒なことではないか」 ....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
烏が一羽|歴然と屋根に見えた。ああ、あの下|辺で、産婦が二人――定命とは思われぬ無残な死にようをしたと思うと、屋根の上に、姿が何やら。 この姿は、葎を分けて忍....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
う傾けに草へ倒して、ぐるぐる巻というよりは、がんじ搦みに、ひしと荒縄の汚いのを、無残にも。 「初路さんを、――初路さんを。」 これが女※の碑だったのである。 ....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
たのがあの戦乱、間もなく良人となるべき人は戦場の露と消え、私の若き日の楽しい夢は無残にも一|朝にして吹き散らされて了いました……。それからの私はただ一|個の魂の....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
欲望、野心、又復讐的激情の所産である。そして其結果は如何? 麗わしき神の御業は、無残にも脚下に蹂躙せられ、人間が額に汗して築き上げたる平和の結晶は、一朝にして見....
杜子春」より 著者:芥川竜之介
す。鬼どもはそういう地獄の中へ、代る代る杜子春を抛りこみました。ですから杜子春は無残にも、剣に胸を貫かれるやら、焔に顔を焼かれるやら、舌を抜かれるやら、皮を剥が....
鴨の喜劇」より 著者:井上紅梅
君の屋敷内に群鶏が雑居して庭じゅうを飛び廻り、地面の上に敷かれた美しい錦の若葉を無残にも喙み尽した。たいていこれはエロシンコ君の勧告の結果だろうと思われる。 ....
透明人間」より 著者:ウェルズハーバート・ジョージ
スティード氏は、鉄棒の化けものの猛反撃をくった。ただ、残酷としか言いようのない、無残な殺されようであった。頭はたたき割られ、腕はへし折られて、これがあの温厚な人....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
持っていたものである。しかしもう今日ではどこにもそんな景色は残っていない。僕等は無残にもひろげられた跡を向う両国へ引き返しながら、偶然「泰ちゃん」の家の前を通り....