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「無気味〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

無気味の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
後ろめたい思いもしない訣ではなかった。けれども「離れ」へはいることはどうも彼には無気味だった。 それから重吉は茶の間の隣りにやはり床に就いている姑《しゅうとめ....
疑惑」より 著者:芥川竜之介
プの前にあぐらをかいて、漫然と書見に耽《ふけ》っていると、突然次の間との境の襖が無気味なほど静に明いた。その明いたのに気がついた時、無意識にあの別荘番を予期して....
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
を透かして見ますと、まあ、どうでございましょう。粉微塵になった小屋の前には、あの無気味な摩利信乃法師が、薄色の袿《うちぎ》を肩にかけて、まるで猿《ましら》のよう....
」より 著者:芥川竜之介
ない内に、ニスの※のする戸がそっと明くと、顔色の蒼白い書記の今西《いまにし》が、無気味《ぶきみ》なほど静にはいって来た。 「手紙が参りました。」 黙って頷《う....
神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
した。実際その瞬間彼の眼には、この夕闇に咲いた枝垂桜《しだれざくら》が、それほど無気味《ぶきみ》に見えたのだった。無気味に、――と云うよりもむしろこの桜が、何故....
河童」より 著者:芥川竜之介
かえる》の跳《は》ねるように飛びかかる気色《けしき》さえ示しました。僕はいよいよ無気味になり、そっと椅子《いす》から立ち上がると、一足《いっそく》飛びに戸口へ飛....
彼 第二」より 著者:芥川竜之介
一本火をつけて見た。が、夢の中に眠った僕が現在に目を醒《さ》ましているのはどうも無気味《ぶきみ》でならなかった。 (大正十五年十一月二十九日)....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
りと顔を睨《にら》まれると、てれ隠しにお蓮へ盃《さかずき》をさした。しかしお蓮は無気味《ぶきみ》なほど、じっと彼を見つめたぎり、手も出そうとはしなかった。 ....
子供の病気」より 著者:芥川竜之介
》ばかりしているのもいけないらしかった。自分は急にいじらしい気がした。同時にまた無気味《ぶきみ》な心もちもした。Sさんは子供の枕もとに黙然《もくねん》と敷島《し....
黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
顔とを見比べて、もう一度こう繰返した。 「これは珍品ですね。が、何だかこの顔は、無気味《ぶきみ》な所があるようじゃありませんか。」 「円満具足《えんまんぐそく》....
湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
かかっていた。白壁や瓦屋根《かわらやね》を積み上げた長沙《ちょうさ》は何か僕には無気味だった。それは次第に迫って来る暮色の影響に違いなかった。僕は葉巻を銜《くわ....
温泉だより」より 著者:芥川竜之介
、それも瞬《またた》き一つせずにじっと屋根裏の電燈を眺めていたと言うのですから、無気味《ぶきみ》だったのに違いありません。上さんはそのために長湯《ながゆ》も出来....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
母は洋一をかばいながら、小突くように兄を引き離した。すると兄の眼の色が、急に無気味《ぶきみ》なほど険しくなった。 「好いやい。」 兄はそう云うより早く、気....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
ば、又名聞を好まなければ、最後に殆《ほとん》ど病的な創作熱に苦しまなければ、この無気味な芸術などと格闘する勇気は起らなかったかも知れない。 鑑賞 芸....
俊寛」より 著者:芥川竜之介
いる。しかし浄海入道《じょうかいにゅうどう》になると、浅学短才の悲しさに、俊寛も無気味《ぶきみ》に思うているのじゃ。して見れば首でも刎《は》ねられる代りに、この....