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無疵
「無疵〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
無疵の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「業平文治漂流奇談」より 著者:三遊亭円朝
ざいませんが、お出入先へ参って居りますから持参致します、これは古渡《こわた》りの
無疵《むきず》で斑紋《けら》のない上玉《じょうだま》で、これを差上げ様と存じます....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
って、その名刺をみたときオヤッと思ったほど、じつにそれが意想外の人物だったのだ。
無疵のルチアノ――いまタマニーに風を切るニューヨーク一の大親分。牝鶏フロー、彼の....
「壊滅の序曲」より 著者:原民喜
であろうか。賭《かけ》にも等しい運命であった。どうかすると、その街が何ごともなく
無疵《むきず》のまま残されること、――そんな虫のいい、愚かしいことも、やはり考え....
「廃墟から」より 著者:原民喜
なぐ》りつけられたのだ。左側の眼蓋《まぶた》の上に出血があったが、殆《ほとん》ど
無疵《むきず》といっていい位、怪我《けが》は軽かった。あの時の驚愕《きょうがく》....
「丸善と三越」より 著者:寺田寅彦
また一般の趣味|好尚の代表である。なんでもどちらかと言えばあらのない、すべっこい
無疵なものばかりである。いつかここでたいへんおもしろいと思う花瓶を見つけてついで....
「ジイドとそのソヴェト旅行記」より 著者:宮本百合子
義者、生涯に只の一遍も人間の為に献身しようとしなかったために傷つきもしなかった、
無疵のままの利己主義者である。社会の枠がこのままであって、猶且つ人間が建直される....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ぶって、わっしを物の一里ばかり立ちのく間、見のがして下さりさえすりゃあ、この娘を
無疵《むきず》で、このまますんなりお返し申すんでございますが、いかがなもんでござ....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
近い」
三人は、刀を拭いて納めた。
「ここへ来る道で、一人は膝を切られ、二人は
無疵で――」
「逢うた。お互に、顔を知らぬし、怪しいとは存じたが、睨み合ったまま....
「髪」より 著者:織田作之助
、また禿げ上った形跡もない。人一倍髪の毛が長く、そして黒い。いわばこの長髪だけが
無疵で残って来たという感じである。おまけにこの長髪には、ささやかながら私の青春の....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
た。 その後、私は右の不動を出して見ると、なかなか凡作でない。折れた足を継ぎ、
無疵にして、私の守り本尊の這入っている観音の祠(これは前におはなしした観音です)....
「学問のすすめ」より 著者:福沢諭吉
、聖明の君と賢良の士と柔順なる民とその注文はあれども、いずれの学校に入れば、かく
無疵《むきず》なる聖賢を造り出だすべきや、なんらの教育を施せばかく結構なる民を得....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
には心もとまらず……云々《うんぬん》。」そして其角は江戸名所の中《うち》唯ひとつ
無疵《むきず》の名作は快晴の富士ばかりだとなした。これ恐らくは江戸の風景に対する....
「法隆寺再建非再建論の回顧」より 著者:喜田貞吉
のであった。したがって余輩のさきに発表したところの不完全なる論旨は、今もなおほぼ
無疵の儘に保存せられているのである。しかも文献的資料の扱いに慣れざる世間の人々は....
「墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
の屍体検案書を帳簿から抜き出して見せてくれた。なるほど石橋スパセニア(二十歳)は
無疵の溺死体であるが、石橋ジーナ(二十三歳)は額に盲管銃創を負っている。 そう....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
せなことに、――しあわせに見えたといったほうがいいかもしれぬが――エセックスは、
無疵でイングランドに帰還した。そのときから彼は、宮廷への精勤人となった。女王は、....