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無目
「無目〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
無目の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
無視し、実生活に大胆なる括弧《かっこ》を施し、超然として中和の空気を吸いながら、
無目的なまた無関心な自律的遊戯をしている。一言にしていえば、媚態のための媚態であ....
「明暗」より 著者:夏目漱石
に悪い目的はちっともない事をあなたに承認していただきたいのです。僕自身は始めから
無目的だという事を知っておいていただきたいのです。しかし天には目的があるかも知れ....
「浮浪漫語」より 著者:辻潤
ことのいえない位は我慢しなければならないという殊勝な心持にもさせられるのである。
無目的にまったく漂々乎として歩いていると自分がいつの間にか風や水や草や、その他の....
「ふもれすく」より 著者:辻潤
ぼらしくもおかし気な一匹の驢馬を伴侶に、出鱈目な人生の行路を独りとぼとぼと極めて
無目的に歩いている人間。 鈍感で道草を食うことの好きな僕の馬は、時々嬉しくも悲....
「錯覚自我説」より 著者:辻潤
。しかし、太陽は果して吾人の中に現に存在しているのである。 人間の生活は本来は
無目的な生命であった。非合目的な生命であった。なん等の方針方向なるもののない生命....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
何物でもあり得ない。 自由なる創造の世界は遊戯の世界であり、趣味の世界であり、
無目的の世界である。努力を必要としないが故に遊戯と云ったのである。義務を必要とし....
「斗南先生」より 著者:中島敦
かった。それが何に原因するものであるかを三造は知らない。伯父はまた常に、三造には
無目的としか思えないような旅行を繰返していた。支那《シナ》には長く渡っていた。そ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
旅というものは、もっと自由のものでなければならない。自由といわなければ、もっと
無目的のものでなければならないのに、自分のはあんまり窮屈すぎ、目的が有り過ぎる。....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
》は、「本日東西南北に向って発向仕り候」と手紙に書いたそうだが、最初からそういう
無目的を目的として発向するなら是非もないが、少なくとも今の場合の七兵衛は、いかに....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
船の名目すらが出来ていない。名は体をあらわすものとすれば、無名丸そのものの内容が
無目的なのであって、形は出来て、歩行はつづけられるけれども、頭もなければ肚《はら....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
頼まれたわけでもないから、不平を言うべき筋はあり得ないのだが、京の町を、てんから
無目的で際限なく引張り廻された日にはやりきれない。それを、相手方はむしろ気の毒と....
「法学とは何か」より 著者:末弘厳太郎
れが違った正義観を持っていることにあると言うことができる。法規解釈が純客観的に、
無目的に行われるということは事実あり得ない。解釈は、結局技術であり、手段であるに....
「チェーホフ試論」より 著者:神西清
老獪政治家であるロリス・メーリコフの手に帰した時代で、まさしく幻滅と萎靡と沈滞と
無目的と退嬰と窒息……等々にとざされた灰色の時代であった。出口はない。――おそら....
「囚われたる現文壇」より 著者:小川未明
でなければならない。人間性の為めの勇敢な戦士であらねばならぬ。現実が極めて安意な
無目的の状態に見えるのも、或いは希望の光りに輝いて見えるのも畢竟、主観的の問題で....
「それから」より 著者:夏目漱石
ょうこう》と解釈していた。これを煎《せん》じ詰めると、彼は普通に所謂《いわゆる》
無目的な行為を目的として活動していたのである。そうして、他を偽らざる点に於てそれ....