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「無縁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

無縁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
片信」より 著者:有島武郎
とおもう。ここまでいうと「有島氏が階級争闘を是認し、新興階級を尊重し、みずから『無縁の衆生』と称し、あるいは『新興階級者に……ならしてもらおうとも思わない』とい....
宣言一つ」より 著者:有島武郎
私は第四階級以外の階級に生まれ、育ち、教育を受けた。だから私は第四階級に対しては無縁の衆生の一人である。私は新興階級者になることが絶対にできないから、ならしても....
心中浪華の春雨」より 著者:岡本綺堂
のを聞いて、成る程それもよかろう、たとい幾年留守にしても阿母《おっか》さんの墓を無縁にするようなことは決してしない、安心して行くがよいと、これも江戸の知りびとに....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
「この線香をどうしますえ」と、熊蔵は小声で訊いた。 「捨てるわけにも行くめえ。無縁の仏にでも供えて置こう」 残暑の強い此の頃ではあるが、墓場にはもう秋らしい....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
揚とかいう心にもない旗印をかかげ、彼の奇妙な牽引力と、物質的報酬とを以て、彼には無縁な民衆を煽動する。民衆はその好餌に引き寄せられ、自分等の真の要求とは全く関係....
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
ようなものだ。失敗、疲労、痛恨――僕一生の努力も、心になぐさめ得ないから、古寺の無縁塚をあばくようであろう。ただその朽ちて行くにおいが生命だ。 こう思うと、僕....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
適な時間を持てるようになったことをしみじみうれしく思う。 十月二十一日 戦災無縁墓の現状が毎日新聞にのっている。 雨に汚れた白木の短い墓標の林立。「無名親....
食魔」より 著者:岡本かの子
あった。 その遺骨を携えて鼈四郎は東京に出て来た。東京生れの檜垣の主人はもはや無縁同様にはなっているようなものの菩提寺と墓地は赤坂青山辺に在った。戸主のことで....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
だろうと、のそのそ帰って来たのであることが判った。して見ると、前の夜の出来事は、無縁の鬼がこの一家をあざむいて、自分の供養を求めたのであったらしい。(同上) ....
春昼」より 著者:泉鏡花
情である。 されば瓦を焚く竈の、屋の棟よりも高いのがあり、主の知れぬ宮もあり、無縁になった墓地もあり、頻に落ちる椿もあり、田には大な鰌もある。 あの、西南一....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
で掌を合せたので、旅客も引入れられたように、夏帽を取って立直った。 「所縁にも、無縁にも、お爺さん、少し墓らしい形の見えるのは、近間では、これ一つじゃあないか―....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
知らない人たちです。 墓は、草に埋まって皆分りません、一家遠国へ流転のうちに、無縁同然なんですから、寺もまた荒れていますしね。住職も留守で、過去帳も見られない....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
の卵塔は申すまでもない、野に山に、標石、奥津城のある処、昔を今に思い出したような無縁墓、古塚までも、かすかなしめっぽい苔の花が、ちらちらと切燈籠に咲いて、地の下....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
、よそから来て、肉を売る女の事だと言います。それだと、お優さんの、骨は、可心寺の無縁ですから。」 附記。 その後、大笹から音信があった――(知人はその行....
註文帳」より 著者:泉鏡花
をぶらついて、帰りにゃあ箕輪の浄閑寺へ廻って、以前|御贔屓になりましたと、遊女の無縁の塔婆に挨拶をして来やあがる。そんな奴も差配内になくッちゃあお祭の時幅が利か....