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無表情
「無表情〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
無表情の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「影」より 著者:芥川竜之介
あいさつ》をした。
「陳さんですか? 私は吉井《よしい》です。」
陳はほとんど
無表情に、じろりと相手の顔を眺めた。
「今日《こんにち》は御苦労でした。」
「先....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
に答えた。
「次手《ついで》に靴《くつ》も脱《ぬ》いで見ろ。」
彼等はほとんど
無表情に、隠すべき所も隠そうとせず、検査の結果を眺めていた。が、ズボンや上着は勿....
「夢」より 著者:芥川竜之介
に対する羨《うらやま》しさもあったのに違いなかった。彼女は不相変《あいかわらず》
無表情にじっと部屋の隅へ目をやったなり、薄赤い絨氈《じゅうたん》の上に横わってい....
「或る女」より 著者:有島武郎
みようとする淫婦《いんぷ》の目とも見られない事はなかった。それほどその目は奇怪な
無表情の表情を持っていた。
「始めてお目にかかるが、愛子さんおいくつ」
倉地....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
を取上げた。そして馬の前に立った。馬はなつかしげに鼻先きをつき出した。仁右衛門は
無表情な顔をして口をもごもごさせながら馬の眼と眼との間をおとなしく撫《な》でてい....
「星座」より 著者:有島武郎
た自分の袴を脱いで、それに書物包みをくるみ始めた。森村は見向きもせずに前どおりな
無表情な顔を眼の前の窓の鴨居《かもい》あたりに向けたままで、
「これからまたどこ....
「親子」より 著者:有島武郎
たかった。 「お前は夕飯はどうした」 そう突然父が尋ねた。監督はいつものとおり
無表情に見える声で、 「いえなに……」 と曖昧に答えた。父は蒲団の左角にひきつ....
「鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
しゅけい》である。それを自らの手によって行っている小山すみれの顔は、始めと同じく
無表情で、悔恨《かいこん》の色もなければ憎悪《ぞうお》の気も見えない。 とうと....
「橋」より 著者:池谷信三郎
手札をかくし、お互いに他人の手札に探りを入れるようなこの骨牌のゲームには、絶対に
無表情な、仮面のような、平気で嘘をつける顔つきが必要だった。この特別の顔つきを ....
「香水紳士」より 著者:大阪圭吉
と腰掛けたのであった。 そして、笑うでもない、怒るでもない、まるでお面のような
無表情な顔で、クルミさんの顔を、体を、シゲシゲと見るのだ。 帽子はかむったまま....
「「草紙洗」を描いて」より 著者:上村松園
口舌で説きえるほど浅いものではありません。 ○ 面は喜怒哀楽を越えた
無表情なものですが、それがもし名匠の手に成ったものであり、それを着けている人が名....
「謡曲と画題」より 著者:上村松園
それにつれて演出される格調の高いあの能楽の舞台面が多いのです。 表情の移らない
無表情の人の顔を能面のようなと言いますが、しかし、その
無表情の能面といえども、一....
「無表情の表情」より 著者:上村松園
は毛筋ほども働いていません。 よく能面の表情は固定していて、死んだ表情であり、
無表情というにひとしいなどと素人の人たちがいうのですが、それは能楽にも仕舞にも何....
「あの顔」より 著者:大倉燁子
有様をまのあたりに見るように震るえて、 「弘さんの顔はまるでお面を被ぶったように
無表情になっているのを見ると、思わず私は愛子を抱いて身を退きました。同時に自分の....
「情鬼」より 著者:大倉燁子
頬ずりしたり、唇をつけたり、はてはぴしゃぴしゃとしゃぶり出した。しかし相手は一向
無表情で身動き一つしない、同じ姿勢を崩さずにちゃんとしているのだ。 その時、女....