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無記
「無記〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
無記の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「地図に出てくる男女」より 著者:吉行エイスケ
現実的な近代主義に打克つことができなかった。理想主義が伝統に敗れたとき彼の理智が
無記銘な現在から彼の生命を奪ってしまった。人間が感情の困難に遭遇するときつねに頭....
「観画談」より 著者:幸田露伴
いるということと起きているということとは一枚になっているので、比丘たる者は決して
無記の睡に落ちるべきではないこと、仏説離睡経に説いてある通りだということも知って....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
……。
却説……斯様にして屍体台帳の書換えを終りました若林博士は、その台帳を
無記入の屍体検案書と一緒に、無雑作に机の上に投出しました。疲れ切った身体を起して....
「暗黒公使」より 著者:夢野久作
に外務省の機密局長M男爵閣下宛、配達致して参りました封書中に、夫の筆跡に相違ない
無記名のもの一通を見付けましたので、思わず胸を轟かせました。そうしてその手紙をこ....
「女性の歴史の七十四年」より 著者:宮本百合子
ルサイユ条約成立と年を同じくして、新憲法による男女二十歳以上の一般、平等、直接、
無記名投票権を認めていること、および、ソヴェト・ロシアが一九一七年(大正六年)十....
「イデオロギーの論理学」より 著者:戸坂潤
時に性格的虚偽も亦動機づけられるであろう。そうすればこの動機は真偽の区別に対して
無記な規定を動機するに過ぎないかのようである。併し元来、虚偽の可能性のない処には....
「思想としての文学」より 著者:戸坂潤
うものが、批評されるものの立っている場合よりももっと高い、従ってもっと一般的な、
無記名的な立場に立たねばならぬという根本関係が、いつでもそこで物を云っているのを....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
言い出したいけれども恥を掻くといけないと思って遠慮していたものが多いのを、それが
無記名投票になれば恥はかき捨てになり、当れば名誉になるのですから、忽《たちま》ち....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
図に用あるがゆえに、その地図を封じこめある茶壺に用あり。早々壺を渡して然るべし」
無記名です……こう書いてある。
じっと紙をにらんだ丹下左膳、二、三度、読みかえ....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
りと向きを変えるとテーブルに近寄って、引き出しをあけて、五千ルーブルの五分利つき
無記名手形を取り出した(それはフランス語の辞書にはさんであった)。それから黙った....
「街はふるさと」より 著者:坂口安吾
殺すように言葉をきった。 青木などは頭になかった。この名刺持参の者、と、わざと
無記名の紹介状を青木に持たしてよこした大庭長平が憎いのである。御引見の栄をたまわ....
「日蔭の街」より 著者:松本泰
それが儂には最上の療法なんだよ」と笑いながらいった。私は振出人ヒギンスの署名で、
無記名一千円の小切手を書かせられた。老人は私からそれを受取って手提金庫へ蔵うと、....
「予謀殺人」より 著者:妹尾アキ夫
けのからになっていた。ただ調べて分ったことは、殺人のあった直後、彼は記名の財産を
無記名の財産にとりかえ、付近の人々の視界から遠のいてしまったということだけであっ....