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無辜
「無辜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
無辜の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
が、そのほかには何一つ罪らしい罪も犯して居らぬ。さればあの沙門を殺すのは、云わば
無辜《むこ》を殺すとでも申そう。――」
「いや、理窟はどうでもつくものです。それ....
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
。妻は世間の圧迫に耐え兼ねて、自殺したのではございますまいか。
世間はついに、
無辜《むこ》の人を殺しました。そうして閣下自身も、その悪《にく》む可き幇助者《ほ....
「或る女」より 著者:有島武郎
目の前に引き出さして、それを毒蛇《どくじゃ》の餌食《えじき》にして、その幾人もの
無辜《むこ》の人々がもだえながら絶命するのを、眉《まゆ》も動かさずに見ていたとい....
「或る女」より 著者:有島武郎
で知らずにいた、それに葉子はあきれたのだった。しかしそれは愛子の目に自分を非常に
無辜《むこ》らしく見せただけの利益はあった。さすがの愛子も驚いたらしい目をして姉....
「忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
にある通りである。最後には、家臣をほしいままに手刃《しゅじん》するばかりでなく、
無辜《むこ》の良民を捕えて、これに凶刃を加えるに至った。ことに口碑《こうひ》に残....
「若杉裁判長」より 著者:菊池寛
らも、またそのことを思い続けていました。その時にふと、将来法律を学んで、こうした
無辜《むこ》の人々のために、侃諤《かんがく》の弁を振ってみようかという考えが、若....
「映画界手近の問題」より 著者:伊丹万作
い。 不徳行為に対する制裁は不徳者一個人の範囲を超えてはならぬ。 四社連盟は
無辜の従業員過半数の生命線を犯さんとする暴圧である。 いったい映画従業員ほどお....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
しかし、それが判ったところで、けっして犯人が指摘されるものではなく、むしろ伸子の
無辜を明らかにしたにすぎない。いや、ただ単に、伸子を倒した最後の止めを詳しくした....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
に苦しんで歩いたことか! そのあげく彼を迎えるものは、掟であり死であった。しかも
無辜のために殺されるのであった。 彼はとうとう歩き通した。 胎内最初の関門が....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
従えるに足る者が、島にはいのうなったはずじゃ。その理由がようわかれば、なぜ私が、
無辜のグレプニツキーを殺めたか、合点がいったであろうのう。私たちが島を去ったのち....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
れた。 やがて、淡路は切なそうな諦めの色を現わして、 「止むを得ません。自分の
無辜を証明するためには、恩師との約束も反古にせんけりゃならんでしょう。実はあの時....
「瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
しむるものあり。然るに幕府の始末はこれに反し、穏に政府を解散して流血の禍を避け、
無辜の人を殺さず、無用の財を散ぜず、一方には徳川家の祀を存し、一方には維新政府の....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
英国の国事探偵であると告げました。それがためにチベット政府は非常の疑いを増して、
無辜の知人を獄に下し大いに呵責拷問して居るということです。
かかる事を確かに聞....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
て、政府は絶対に危険を冒してはならないからだった。古来の諺は逆になった、「十人の
無辜が虐げられようとも、一人の犯人を取りのがすよりは好い」嫌疑を起こすことがすな....
「融和促進」より 著者:喜田貞吉
咎めて、容易に百姓町人を斬り捨てた武士、人を斬るのが恐ろしくては戦場に立てぬと、
無辜の人を辻斬りして、胆力を養うの必要をまで感じた武士、その武士の子孫が、残忍性....