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無銭
「無銭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
無銭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「後世への最大遺物」より 著者:内村鑑三
た。それでボストンまではその時分はもちろん汽車はありませんし、また馬車があっても
無銭《ただ》では乗れませぬから、ある旅籠屋《はたごや》の亭主に向い、「私はボスト....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
《や》らあ、そのために私《わし》がついてるんだぜ、なあ姉さん。おい、それだっても
無銭《ただ》じゃあいけねえよ、憚《はばか》りながら神方《しんぽう》万金丹、一|貼....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
知らずや、この勘定の時は、席料なしに、そこの何とか云う姉さんに、茶の給仕をさせて
無銭で手を握るのだ、と云ったものがある。世には演劇の見物の幹事をして、それを縁に....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
藪蕎麦が近いから、あの佳味いので一銚子、と言われて涙を流した。親身の情……これが
無銭である。さても、どれほどの好男に生れ交って、どれほどの金子を使ったら、遊んで....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
したんだね。もう始りましたぜ。何でさ、木戸銭なんか要りやしません。お入んなさい、
無銭で可うごす。木戸銭は要りませんから、菓子でも買っておあがんなさい。」 大胡....
「露肆」より 著者:泉鏡花
抱えて彳む。 「諸人に好かれる法、嫌われぬ法も一所ですな、愛嬌のお守という条目。
無銭で米の買える法、火なくして暖まる法、飲まずに酔う法、歩行かずに道中する法、天....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
層の寂寥を増していた。そういうわけであるから、家賃も無論にやすい。場所によっては
無銭同様のところもある。わたしの父も殆んど
無銭同様で、泉岳寺に近い古屋敷を買い取....
「十年後のラジオ界」より 著者:海野十三
、君の前へ正体を明らかにするだろう。」 「じゃ、うっかり死ぬわけには行かないネ。
無銭飲食をした揚句、自殺と出掛けても娑婆から借金取りが無線で押し寄せるなぞ、洒落....
「穴」より 著者:岡本綺堂
層の寂寥を増していた。そういうわけであるから、家賃も無論にやすい。場所によっては
無銭同様のところもある。わたしの父もほとんど
無銭同様で、泉岳寺に近い古屋敷を買い....
「備前天一坊」より 著者:江見水蔭
かという、これは大事な別れ目。しかし、それは浪人達が好い加減の出鱈目で、つまりは
無銭宿泊の口実に、何か彼か拵え事を云うのであろうとも思ったが、一体それはどういう....
「山吹」より 著者:泉鏡花
――一軒の門にこのくらい咲いた家は修善寺中に見当らねえだよ。――これを視めるのは
無銭だ。酒は高価え、いや、しかし、見事だ。ああ、うめえ。 万屋 くだらない事を言....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
痩せた車掌がいい男で、確に煙草入を――洋服の腰へ手を当てて仕方をして――見たから
無銭のりではありません。掏られたのです。よろしい、と肥った監督が大な衣兜へ手を突....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
で売る馬肉じゃあないが、蹴転の女郎の切売を買ったって、当節では大銭だろう。女房は
無銭で貰うんだ――娘に……箪笥、長持から、下駄、傘、枕に熨斗が附いてるんだぜ。き....
「活人形」より 著者:泉鏡花
さえ骨一つでちんちんお預はするものを。おまけに横須賀の探偵とかいう人は、茶菓子を
無銭でせしめて去んだ。と苦々しげに呟きて、あら寝たや、と夜着|引被ぎ、亭主を見送....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
のだが、いかにも金がたんまりあるかのように泰然と落着くことにした。しかし最初から
無銭宿泊のつもりではなかった。なんとかせねばいかん、なんとかなるだろう、という気....