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無際限
「無際限〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
無際限の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「八十八夜」より 著者:太宰治
だ。これは、絶対に確実のように思われる。けれども、――どうにも、この相も変らぬ、
無際限の暗黒一色の風景は、どうしたことか。絶対に、嗟《ああ》、ちりほどの変化も無....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
寸の架床上に争うて安臥するのであった。燃材の始末、飼料品の片づけ、為すべき仕事は
無際限にあった。 人間に対する用意は、まず畳を上げて、襖障子諸財一切の始末を、....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
然全く表情を失ってしまって、固い、冷たい、無慈悲な物の積み重なりに過ぎなかった。
無際限なただ一つの荒廃――その中に君だけが呼吸を続けている、それがたまらぬほどさ....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
の幸福な住民を喜ばせるためである。それはなぜかと言えば、彼らの間では恐らく美徳が
無際限に行われていて、罪悪などというものはかつて知られていないからだというのであ....
「姥捨」より 著者:太宰治
で尽した。 そのとき、はっきり決心がついた。 この女は、だめだ。おれにだけ、
無際限にたよっている。ひとから、なんと言われたっていい。おれは、この女とわかれる....
「球根」より 著者:寺田寅彦
みまでを照らし尽くすような気がしても、外の世界とちょっとでも接触する所には、もう
無際限な永遠の闇が始まる、という事がおぼろげながらも彼の頭に芽を出しかけていた。 (大正十年一月、改造)....
「科学者とあたま」より 著者:寺田寅彦
会も決して少なくはない。この場合にも頭のいい人は人間の頭の力を買いかぶって天然の
無際限な奥行きを忘却するのである。科学的研究の結果の価値はそれが現われるまではた....
「「吶喊」原序」より 著者:井上紅梅
爰に生人の中に叫んで生人の反響なく、賛成もなければ反対もないと極ってみれば、身を
無際限の荒原に置くが如く手出しのしようがない。これこそどのような悲哀であろうか、....
「握った手」より 著者:坂口安吾
由子に追いついて、よびとめた。脱帽すると、彼の頭も額も汗でいっぱいで、それは益々
無際限に溢れたって湯気をふいた。赤面してオドオドし、いまにも卒倒しそうな様子であ....
「火星の芝居」より 著者:石川啄木
りも堅くて青くて透徹るよ』 『それが何だい?』 『それを積み重ねて、高い、高い、
無際限に高い壁を築き上げたもんだ、然も二列にだ、壁と壁との間が唯五間位しかないが....
「加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
で、同じように左を取って彼は躊躇せず進んで行った。行くにしたがって次々にほとんど
無際限に辻が現われた。そうして全く不思議なことには、二、四、八、十六というように....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
とでも考えたら大マチガイで、まるで棒が手中に吸いこまれて、前後左右上下の諸方から
無際限に目にもとまらぬ早さでとびだし襲いかかってくるものと思い知っておかねばなら....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
ものがある。もし、この便りをさえ失った後は、全く忘却の中に悪魔や鬼神の擒となり、
無際限の奈落の底に引きずり込まれて行っても、それを何によって感覚したらよいであろ....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
その胸から迫り出て、全世界をその胸に
畳み込ませる諧調でないでしょうか。
自然は
無際限なる長さの糸に、
意味もなく縒を掛けて紡錘に巻くに過ぎない。
万物の雑然た....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
頭、 頭 頭 頭、頭、 頭 である。 何とまた空は蒼く、海は
無際限に黒く、日は燦爛と明るいことだ。 見ろ、この膃肭獣の集団を。 ぴたぴた....