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「無風〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

無風の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
わらず》退屈を極めていた。同時にまた彼の教えぶりも負けずに退屈を極めていた。彼は無風帯を横ぎる帆船《はんせん》のように、動詞のテンスを見落したり関係代名詞を間違....
失楽園殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
めた紙片を取り出し、法水に与えてから、 「院長は相当時期の進んだ結核患者なので、無風の夜には、窓を開放して眠る習慣になって居るのです。ですから、今朝の八時頃でし....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
が多い。その門内には梅でも咲いているのであろう、ところどころで鶯の声がきこえて、無風流の半七もときどきに足を止めた。 目あての桂庵は海保寺の門前にあって、入口....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
の愛妾岩間富枝に胎ったのだ。それがすなわち、現在の当主旗太郎なんだよ。そうして、無風のうちに三十何年か過ぎた去年の三月に、三度動機不明の変死事件が起った。今度は....
千早館の迷路」より 著者:海野十三
っと慄えた。 「……わしの臨終に、間に合うように来てくれたか。しかしピストルとは無風流な……」 「おお、古神行基か」 「そう……今気がついたのか。ひっひっひっひ....
宇宙尖兵」より 著者:海野十三
な鏡のついた戸棚がとりつけてある。天井には、グローブ式電灯が嵌め込んである。ちと無風流な部屋だ。そして一体ここは何処だか、僕の記憶にないところだ。 「目が覚めた....
油絵新技法」より 著者:小出楢重
ってくれる、悟りの早い気の利いた人種であり好ましい東洋精神である。 もしこれを無風流で禅の心得なき西洋人に見せたら、どうも本当に合点が行かないので一向何の顔も....
獅子は死せるに非ず」より 著者:小栗虫太郎
て、日本探偵小説は闇のなかへ隠れる。しばらくは、光りのくるまで眠り続けるだろう。無風の、批評のないなかで、惰眠を貪ぼるだろう。 しかし、「シュピオ」の獅子は、....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
国巡洋艦『提督デイウェイ』とコマンドルスキイ沖で遭遇するまでは、航路、まったくの無風帯でした。ところがその時、生れてはじめて海戦というものを目撃した――そのわれ....
夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
鬼気を覚えるであろう。二人が寂光庵に着いた頃は、恰度雷雨の前提をなす、粘るような無風帯の世界であった。が、入るとすぐに普光尼を呼んだ。然し、法水だけは、案内の尼....
「太平洋漏水孔」漂流記」より 著者:小栗虫太郎
ある。 これは、紀元前カルタゴの航海者ハノンが発見したのが始め。帆船のころは、無風と環流のためそこを出られなくなり、舵器には馬尾藻がぬるぬると絡みついてしまう....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
君の幅を見て、「椿岳、これは八百屋お七か」と訊いたという奇抜な逸事を残したほどの無風流漢であった。随って商売上武家と交渉するには多才多芸な椿岳の斡旋を必要とした....
現代茶人批判」より 著者:北大路魯山人
ただもうわけもなく喜悦し、この珍風景に縁なき徒輩たちを指しては妄りに俗物として、無風流の誹謗を真向から浴びせかけるというわけで、まことに苦笑禁じ得ないものばかり....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
という。夜に入りて、英王戴冠式を祝するために合奏会あり。 二十二日、晴れ。終日無風、しかもはなはだしく暑からず。午前十時四十分、甲板上にて戴冠式の祝典を開催せ....
」より 著者:岡本かの子
のように注意の外に持ち去られる。ひょっとして競漕の昂揚点に達すると、颱風の中心の無風帯とも見らるべきところの意識へ這入る。ひとの漕ぐ艇、わが漕艇と意識の区別は全....