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焦がし
「焦がし〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
焦がしの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「世相」より 著者:織田作之助
ったが、丁度その頃私はカフェ美人座の照井静子という女に、二十四歳の年少多感の胸を
焦がしていた。 美人座は戎橋の北東詰を宗右衛門町へ折れた掛りにあり、道頓堀の太....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
ずはない」 「そんなはずはないといっても、確かに燃えているよ。炎々たる火焔が空を
焦がしている」 「え、それは本当か」 ドレゴはさっと顔色をかえて、車を停めた。....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
前たちの筋肉を曲げ、骨を違わせるだろう。出血を止めるために灼熱した炭でお前たちを
焦がしたり、循環を助けるためにからだの中へ針金をさし込むこともあろう。塩、酢、明....
「パルチザン・ウォルコフ」より 著者:黒島伝治
かえした。夏刈って、うず高く積重ねておいた乾草が焼かれて、炎が夕ぐれの空を赤々と
焦がしていた。その余映は森にまで達して彼の行く道を明るくした。 家が焼ける火を....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
の説もあるが、聖経、詩賦、文章、歴史等古代の文献が尽く猛火の餌食となって焔々天を
焦がし、尊いマニュスクリプトを焚いて風呂まで沸かしたというに到っては匹夫の手に果....
「少年探偵長」より 著者:海野十三
間ぐらい考えなくてはならなかったのだ。少年は幸運にもその球形の秘密箱を火のそばで
焦がしたがために、秘密箱のからくりは自然に中ではずれ、彼が二度目に手から地面の上....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
「信濃なる浅間の岳《たけ》は何を思ふ」と詠み掛けたりなぞしている。自分が日頃胸を
焦がして思うところが有るからであったろう。 肥前名護屋に在って太閤《たいこう》....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
も命も共に忘れて敗軍の無念には励み、凱歌の鋭気には乗じ、明ても暮ても肘を擦り肝を
焦がし、饑ては敵の肉に食い、渇しては敵の血を飲まんとするまで修羅の巷に阿修羅とな....
「爆薬の花籠」より 著者:海野十三
うに動いた。それと同時に、山手寄りの町に炎々たる火柱がぐんぐん立ちのぼって、天を
焦がしはじめた。 検事は、顔の色を失った。 いや、総監はじめ、山上につめかけ....
「富岡先生」より 著者:国木田独歩
村長は微笑を帯びて細川の顔をじろじろ見ながら言った。彼は細川が梅子に人知れず思を
焦がしていることを観破ていたのである。 「私には解せんなア」と校長は嘆息を吐いた....
「蛍」より 著者:織田作之助
が耳にはいると、ただわけもなく惹きつけられて、ちょうどあの黙々とした無心に身体を
焦がしつづけている螢の火にじっと見入っている時と同じ気持になり、それは何か自分の....
「博物誌」より 著者:岸田国士
犬どもの歯が寒さにがたがた震えている時刻に、ポアンチュウはぬくぬくと暖まり、毛を
焦がし、尻を焼きながら、唸りたいのを我慢して、じっと泣き笑いをしている――眼にい....
「中毒」より 著者:織田作之助
私はただ猫でも杓子でもないことを示したかっただけだ。因みに、私が当時ひそかに胸を
焦がしていた少女に、彼等煙草生徒も眼をつけていたのだ。 高等学校へはいっても、....
「キド効果」より 著者:海野十三
やつは、興奮の振動体のようなもので、いつも二十四時間、なにかかにかの興奮に神経を
焦がしている。腹が減ってくると、食慾が起り、牛肉のスキ焼が喰べたいとか天丼をムシ....
「鮎の食い方」より 著者:北大路魯山人
もちろん、ふつうの家庭で用いているような、やわらかい炭ではうまく焼けない。尾鰭を
焦がして、真黒にしてしまうのなどは、せっかくの美味しさを台なしにしてしまうものだ....