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「焦土〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

焦土の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
いた空間に、あちこちと、馴染のある電灯が、輝きだした。電灯が点いてみると、全市を焦土と化してしまったかと思われた火災も案外、局部に限られていることが、判った。 ....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
日の雪の日のB29、百三十機の爆撃のためである。憎みてもあまりあるB29。しかし焦土と化すのは、前から分っていたことだ。それは仕方がないとして、何か手を打つべき....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
、ごく最近に、その辺一帯の枯芝を焼いたらしい形跡が残っている事だった。その真黒な焦土が、昨夜来の降雨のために、じとじと泥濘んでいるので、その上には銀色をした鞍の....
灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
聖賢の経典、碩儒の大著、人間の貴い脳漿を迸ばらした十万巻の書冊が一片業火に亡びて焦土となったを知らず顔に、渠等はバッカスの祭りの祝酒に酔うが如くに笑い興じていた....
二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
と想像したものは一人も無かった。それを反対にいつかは列強の餌食となって日本全国が焦土となると想像したものは頗る多かった。内地雑居となった暁は向う三軒両隣が尽く欧....
英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
は、まだ已まない。これまでの日本空軍の爆撃により市街の三分の二は壊滅し、完全なる焦土と化した。しかも、蒋委員長は、あくまで重慶に踏み留まって抗戦する決意を披瀝し....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
の、晦むような眩ゆさのなか。 その、土中の塩分がしだいに殖えてゆくのが、地獄の焦土のようなまっ赭な色から、しだいに死体のような灰黄色に変ってゆく。やがて塩の沙....
水鳥亭」より 著者:坂口安吾
発見したように、米英の科学思想は究極に於て日本の復古精神に敗れますよ。日本全土が焦土と化した後に於て、米英の科学思想は逆に日本に弱点をつかれます。日本の勝利は近....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
思想に変りはない。わたくしはわたくしの魂を粉にくだくのである。 つまるところ、焦土の灰から更生し出現したわが身であり作品であってみれば、そしてそれを一個の焼け....
神経」より 著者:織田作之助
ていた「起ち上る大阪」という題の文章の中でこの二人のことを書いた。しかし、大阪が焦土の中から果して復興出来るかどうか、「花屋」の主人と参ちゃんが「起ち上る大阪」....
老狸伝」より 著者:佐藤垢石
厩橋城下に大火が起こったと知ったから、胆を潰したのである。 産湯を使った地を、焦土と化してはいけない。一番、大いに奮闘して消し止めてやろう。 忽ち、一隊の火....
独逸の範とすべき点」より 著者:国枝史郎
ているのだから。まことにこの森林の子、ゲルマン族の偉らさは、敗けて敗けず、むしろ焦土から倍旧の美しい、化学や芸術の花を咲かせて、敵国に復讐し、己れ甦生する所にあ....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
板碑や五輪の塔が苔蒸してる小さな笹藪も、小庭を前にした椿岳旧棲の四畳半の画房も皆焦土となってしまった。この画房は椿岳の亡い後は寒月が禅を談じ俳諧に遊び泥画を描き....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
に入る。硝石運載のためなり。地上に一株の木なく、一根の草なく、一線の泉なく、満山焦土のごとし。アラビアのアデン港に似たり。一望殺風景を極む。港頭に市街あるも矮屋....
雷門以北」より 著者:久保田万太郎
のともらない御神灯だの、花のしぼんだ朝顔の鉢だの……これは亦今度の大地震は一望の焦土に変らせてしまった。』と…… 「古い浅草」とか「新しい浅草」とか、「いままで....