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「焦燥〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

焦燥の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
なかった。しかしそこにも儕輩《さいはい》の嫉妬や彼の利益を失うまいとする彼自身の焦燥の念は絶えず彼を苦しめていた。ましてお芳を囲い出した後は、――彼は家庭のいざ....
或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
《も》の下から、追い追い水の色が拡がって来た。それにつれて一行の心には、だんだん焦燥の念が動き出した。殊に左近は出合いをあせって、ほとんど昼夜の嫌いなく、松山の....
星座」より 著者:有島武郎
ために昼は研究ができず、夜は眠ることのできない三日四日が続いたが、それには何らの焦燥も苦悩も伴《ともな》いはしなかった。彼はただ神聖な存在の前に引きだされたよう....
俘囚」より 著者:海野十三
くなった。もう自分の身体のことも気にならなくなった。ただ一杯のスープに、あたしの焦燥《しょうそう》が集った。 四日目、五日目。あたしはもう頭をあげる力もない。....
地球発狂事件」より 著者:海野十三
しかしどういうものか、ケノフスキーからの返電は一度も来なかった。水戸は、見苦しい焦燥の色も見せはしなかったが、彼は次第に無口の度を加えた。 その頃、新聞やラジ....
階段」より 著者:海野十三
いのであろうかどうかを何時までも気にしていた。 翌日から僕は新しい希望と新しい焦燥とを持って、自分の研究室へつめかけた。だが、落付いた気持で研究室に坐っている....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
は見えなかった。 (副官までが、どうかしているナ) ムラムラと湧きあがってくる焦燥感を、グッと抑えつけ、傍を見ると、年若い参謀は、満面を朱にして、拳を握ってい....
地球盗難」より 著者:海野十三
も厳重に閉じられた建物の外から観察するのであるから、靴を隔てて痒い足を掻くような焦燥を感じずにはいられなかった。 空中には幾度となく爆音が聞えてきた。それは同....
鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
ただただ》重大人物博士の失踪《しっそう》について非常なる憂慮《ゆうりょ》と不安と焦燥《しょうそう》とを覚えている次第でございます」 「失踪事件ならば、先刻も御教....
大脳手術」より 著者:海野十三
げながら、なおも来る夜来る夜を頑張り続けた。さりながらその甲斐は一向に現われず、焦燥は日と共に加わった。珠子とあの仇し男とは、余程巧みに万事をやっているらしい。....
地球要塞」より 著者:海野十三
したら、わが総司令部の上に、最悪の事態が襲来したのではなかろうか?)私は、非常な焦燥を感じた。 鬼塚元帥が予感したとおりの、最悪の事態が早くも来てしまったに違....
地軸作戦」より 著者:海野十三
、まず死亡したものと噂されていたのである。従って、博士に会いたくて焦げつきそうな焦燥を感じていた某大国の特使閣下も、この噂に突き当られ、落胆のあまり今にもぶった....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
|族は、良人をはじめとして殆んど全部城を枕に打死して了いました。その時分の不安、焦燥、無念、痛心……今でこそすっかり精神の平静を取り戻し、別にくやしいとも、悲し....
絹と紙の話と師弟の間柄の話」より 著者:上村松園
生の処に見て貰って廻わる若い人の話を聞きますが、これなどそっくりそのまま現代式な焦燥な心をあらわしてると思います。それが立派な先生の主宰する塾に弟子入りしてる人....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
られた柄杓の水さえ救の露のしたたるか、と多津吉は今は恋人の生命を求むるのに急で、焦燥の極、放心の体でいるのであったが。 「近視の伜が遣りそうな事だわい。不埒もの....