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然し乍ら
「然し乍ら〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
然し乍らの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
出来ぬであろう。今日でも文学は他の職業と比べて余り喜ばれないのは事実である。が、
然し乍ら今日では不利益なる職業と見らるゝだけであるが、二十五六年前には無頼者の仕....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
る必要もあるまいと思う。それよりも先ず物に写す技能を勉めなくてはならないだろう。
然し乍ら一旦画面に向うと同時に其自然なり人物なりの、どれだけを、どんな形に画面へ....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
相変りませず御愛顧を願わなければ全く以て、食って行けない時代であるかも知れない。
然し乍ら、左様に苦労してまで描かねばならぬ程、面白い油絵であり且売れる見込みのあ....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
い。彼等には再生の機会は全くなく、要するに彼等は、純然たる霊界居住者なのである。
然し乍ら、彼等が曾て鏤めたる宝玉は、歳と共に光輝を加えて、不朽の生命を有っている....
「球突場の一隅」より 著者:豊島与志雄
夢みた。外に荒れている暴風雨が何か思いも寄らぬ幸福を齎すのではないかと空想した。
然し乍らその瞬間はすぐに去った。彼女は自分の夢に自ら驚いた。それは現在のうちにち....
「過渡人」より 著者:豊島与志雄
た生きた人格の働きであった。 「俺は一個の社会の支柱だ。」と彼は自ら云った。 「
然し乍ら俺はこの頃何かを欲している。この欲求は何処から来たのであろうか。或は俺は....
「運命のままに」より 著者:豊島与志雄
英子は黙って私を見上げた。その眼付の中に私はある敵意を読み取ることが出来た。
然し乍ら次の瞬間に私はもっと恐ろしいことを考えていた――彼女のうちには 〔be^....
「生あらば」より 著者:豊島与志雄
は差押を受けることが、自分自身及び自分の生命に直接何等の関係もないことを感じた。
然し乍らそれは直ちに自分のパンに関係する問題なることを思った。狭量なる教育社会と....
「田原氏の犯罪」より 著者:豊島与志雄
った。 「それでもぐっすり寝入ってしまった。昼寝はよくそして短く眠るに限るね。」
然し乍ら、田原さんは如何にも陰欝な顔をしていた。濃い眉根から広い額へかけて、彼が....
「作品の倫理的批評」より 著者:豊島与志雄
国の作者を見廻してもまた私自身の作品を顧みても、そういう欠点は随分と見出し得る。
然し乍ら、評者がほんとうに苦しんだか、ほんとうに体験したかという言葉は、聞くこと....
「偶像に就ての雑感」より 著者:豊島与志雄
止まれぬ心情の発露を吹き込むのだ。心象を具体化するのだ。主観を丸彫りにするのだ。
然し乍ら偶像は常にその作者の生命と直接に向き合っていなければいけない。生のままの....
「錬金詐欺」より 著者:小酒井不木
ことが出来ず、その儘沈黙を守ったので、彼は長い間、その詐欺を営んで居たのである。
然し乍ら、とうとう、市の保安会の決議によって、サンフランシスコを追い出され、ニュ....
「三つの痣」より 著者:小酒井不木
あろうと思いました。腹壁を開くと、いう迄もなく大きな子宮壁があらわれました。私は
然し乍ら子宮壁には手をつけず、先ず小腸を例の如く一尺五寸ほど切り出し、その両端を....
「人間性の深奥に立って」より 著者:小川未明
ような事以外に、小学校の先生には更に教うる生徒に対して深い愛情がなければならぬ。
然し乍ら私は現在の小学校の先生方が皆かくの如き人格者のみであるとは思わない。丁度....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
御事 又々、御風気のところ 此度は御模様ただならず 畏れながら旦夕に危ぶまれ申候
然し乍ら、猶御気丈に在し、 たとえ身不慮のことあるも、 但馬守は将軍家指導の大任....