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「然のみ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

然のみの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
富士」より 著者:岡本かの子
わたくしが」 と福慈の女神は静に言葉をついだ。女神の顔は氷花のように燦めき、自然のみが持つ救いのない非情と、奥底知れない泰らかさとが、女神の身体から狭霧のよう....
草枕」より 著者:夏目漱石
もいる。冷然として古今《ここん》帝王の権威を風馬牛《ふうばぎゅう》し得るものは自然のみであろう。自然の徳は高く塵界を超越して、対絶の平等観《びょうどうかん》を無....
運命」より 著者:幸田露伴
に皇孫のましませば何事か候うべき、儲君と仰せ出されんには、四海心を繋け奉らんに、然のみは御過憂あるべからず、と白したりければ、実にもと点頭かせられて、其歳の九月....
ルクレチウスと科学」より 著者:寺田寅彦
偶然」の考えも実に近代の原子説の根底たる統計力学の内容を暗示するように見える。偶然のみ支配する宇宙ではエントロピーは無際限に増大して死滅への道をたどる。これを呼....
十二支考」より 著者:南方熊楠
わゆる河童譚はもと水蛇に根拠した本邦固有のもので、支那の蛟の話と多く相似たるは偶然のみと確言し得るに至らん。 角ある蛇の事、『大清一統志』一五三に、※州神竜山....
蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
た。佐沼は豊間よりは西北、古河よりは東に当るが、豊間と古河との距離は直接にすれば然のみ距《へだた》って居らぬとは云え、然程に近い訳でも無いのに、是《かく》の如く....
婦人と文学」より 著者:宮本百合子
的雄弁をふるいながら、人を服従させる立場に立って、三十年代の日本の市民的自覚の当然のみのりとして、権利と義務という観念が云われはじめたことに反対した。「人生の帰....
大自然を讃う」より 著者:豊島与志雄
され、凡てのものの中心であった自分自身が微々たるものになって、ただ悠久永劫な大自然のみが、何物にも無関心な大きさで君臨する。その時吾々自身は、もはや、地上の虫け....
哲学入門」より 著者:三木清
働くこの世界は、環境と呼ばれている。環境というと普通に先ず自然が考えられるが、自然のみでなく社会もまた我々の環境である。むしろ我々がそこにある世界は何よりも世の....
妖怪学一斑」より 著者:井上円了
ということを発見することがあります。しからば、偶然なるものは全くなくして、単に必然のみであるかという疑点が、一つここに起こって参ります。もし、偶然と必然なるもの....
彼等流浪す」より 著者:小川未明
流浪者程、自然をいつくしむものがないと、クロポトキンは言っている。なぜなら、自然のみが、どこに行っても、莞爾として、遊子を懐にいれて欺かないからだ。しかし、変....