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然も
「然も〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
然もの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
をした。が、荒あらしい木曾《きそ》の自然は常に彼を不安にした。又優しい瀬戸内の自
然も常に彼を退屈にした。彼はそれ等の自然よりも遥《はる》かに見すぼらしい自然を愛....
「或る女」より 著者:有島武郎
うな平地が目の前に広がっていた。しかし自然は少しも昔の姿を変えてはいなかった。自
然も人もきのうのままの営みをしていた。葉子は不思議なものを見せつけられたように茫....
「浜菊」より 著者:伊藤左千夫
た様に覚えてるが、しかしながら今は岡村も慥《たし》か三十以上だ。予は四十に近い。
然も互いに妻子を持てる一ぱしの人間であるのに、磊落《らいらく》と云えば磊落とも云....
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
」と主人が言うので、私は矢立を取出したが、標本的の画ばかり描いている私にはこの自
然も蒔絵《まきえ》の模様のようにしか写されないので途中で止めてしまった。 三河....
「初めて見たる小樽」より 著者:石川啄木
立の中の家|疎《まばら》に、幅広き街路に草|生《は》えて、牛が啼く、馬が走る、自
然も人間もどことなく鷹揚《おうよう》でゆったりして、道をゆくにも内地の都会風なせ....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
胸を抑えつつ軟泥を蹴って前進した。 一行が、それから百歩ばかり前進したとき、突
然ものすごい地震が起こり、軟泥は舞上ってロンドンの霧のようにあたりに立罩《たちこ....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
いうことが分る。『ペネロペが昼間自分の織った織物を夜の間に解きほごすと同様に、自
然もまた時々自分の制作したものを破壊する。そうしてその織物を完成しようという意思....
「少年探偵長」より 著者:海野十三
できなくなった。彼は懸命に、両手と両足で、柿の木の枝にしがみついていた。目は、全
然ものを見分ける力がなくなった。 「柿の木の上で、目はみえず」 ヘリコプターの....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
…はじめは蘆の葉に縋った蟹が映って、流るる水に漾うのであろう、と見たが、あらず、
然も心あるもののごとく、橋に沿うて行きつ戻りつする。さしたての潮が澄んでいるから....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
ずかずかと立寄りまして、慮外ながら伺いましたじゃ。 が、御存じない。いやこれは
然もそう、深窓に姫御前とあろうお人の、他所の番地をずがずがお弁別のないはその筈よ....
「火星の芝居」より 著者:石川啄木
が何だい?』 『それを積み重ねて、高い、高い、無際限に高い壁を築き上げたもんだ、
然も二列にだ、壁と壁との間が唯五間位しかないが、無際限に高いので、仰ぐと空が一本....
「わが妻の記」より 著者:伊丹万作
乏しい。しかし、来客に対しては何とかごまかして行くが、私と差し向かいになつたら全
然もういけない。 私は何とかしてこれを直そうと思い、数年間執念に戦つてみたが、....
「茶の湯の手帳」より 著者:伊藤左千夫
くも浅くも楽むことが出来るのである、最も生活と近接して居って最も家族的であって、
然も清閑高雅、所有方面の精神的修養に資せられるべきは言うを待たない、西洋などから....
「妖怪学」より 著者:井上円了
来たるという。かくのごとく、事実の起こるに三種の別あるも、要するに必然のほかに偶
然もなく、また蓋
然もなきなり。しかして、この三者の別の起こるは、わが知識のいまだ....
「妖怪学一斑」より 著者:井上円了
元来存しておらないものであろうか、もし果たして区別がないならば、すべてのことが偶
然もしくは必然の一方に帰着しなければならん。しかるに、右のごとき事実をあまた集め....