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焼却
「焼却〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
焼却の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新生」より 著者:島崎藤村
《たちの》きの幕と成った。既に仏蘭西政府は他へ移ったらしい。大使館でも昨夜書類の
焼却などをやっていた。昨日午後|独逸《ドイツ》軍の飛行機が巴里市に六つの爆弾を落....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
鋭い語気で云った。
「ですがクリヴォフ夫人、僕はこの気狂い芝居が、とうてい人形の
焼却だけで終ろうとは思えんのですよ。実を云うと、もっと陰険朦朧とした手段で、別に....
「黄鳥の嘆き」より 著者:甲賀三郎
調査書の原本も複製も残らず、彼の手に収める事にしたのだろう。そうしてそれは恐らく
焼却して終ったのに違いない。探偵社の方へも、むろん少なからぬ金が、報酬の名義で送....
「灯籠」より 著者:太宰治
に陳謝するよう、社会の人、その罪を憎みてその人を憎まず。水野三郎。(読後かならず
焼却のこと。封筒もともに
焼却して下さい。必ず) これが、手紙の全文でございます....
「金属人間」より 著者:海野十三
破片は、いったいどこへ行ったのであろうか。 それはたぶん、掃除夫が集めて、塵芥
焼却場《じんかいしょうきゃくば》にはこび、そこで焼いてしまったのであろう。むかし....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
の使者」であるところの缶詰が、彼に手渡されたのである。彼は大安堵をして、告白書を
焼却したその直後に殺されてしまったのだ。 彼の考えでは、その告白書の処置をつけ....
「日本天変地異記」より 著者:田中貢太郎
剰さへその頽れたる家家より火起り熾に燃えあがりて、黒煙天を翳め、多くの家屋資財を
焼却せり」と言って、地震と共に二十四箇所から火が起って惨害をほしいままにしたこと....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
の壊滅状態に陥っているわけでもなし、また、応仁の乱の前後のように、都の中が兵火で
焼却され、八万二千の餓死者が京都の市中に曝《さら》されたといったような現実の体験....
「幾度目かの最期」より 著者:久坂葉子
それでも早く手紙がみたいのでした。机のあたりを整理して、金銭の(借金)勘定もし、
焼却するものもまとめたりしました。私の友人のある令嬢が訪ねて来たのは、その日でし....
「私の信条」より 著者:豊島与志雄
は告白したいことが一つある。私は毎年、年末に、その一年中に受け取った書信をすべて
焼却することにしている。昔からそうなのだ。如何なる関係の如何なる種類の人から来た....
「餅のタタリ」より 著者:坂口安吾
ちこんだがために祖先の霊のタタルところとなったがためである。即ち彼のウスとキネを
焼却することは、祖先の霊をなぐさめて村の安泰をはかるためばかりではなくて、彼の生....
「精神病覚え書」より 著者:坂口安吾
ことが綿々と重複する青年。原稿を読んでくれと送ってよこし、その翌日には恥しいから
焼却してくれと電報をよこし、又、その翌日には、あれはたしかに傑作だから読んでくれ....
「地虫」より 著者:小栗虫太郎
りの一角以外には、船着場所もない。 それに、じめじめと暮れる西風の日には、塵埃
焼却場の煙が、低く地を掃いて匂いの幕のように鎖してしまう。また、島の所々には小沼....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
この魔術の書物と詩の書き散らしとは、ただちにハンス・ヴァン・リッパーの手によって
焼却された。彼は、その後は自分の子供たちをもう学校にやらないことに決め、こんなも....
「流言蜚語」より 著者:中谷宇吉郎
。小樽《おたる》へソ聯《れん》兵が二万上陸したから、戦時研究関係の重要書類を直ぐ
焼却しろという話なのである。もうみんな非常呼集で集っているという。前日からの疲れ....