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「焼芋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

焼芋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
両国の秋」より 著者:岡本綺堂
まっすぐに本所へ行った。傘をかたむけて狭い路地へはいると、路地のかどの店にはもう焼芋のけむりが流れていた。お絹の家は昼でも表の戸が閉めてあったが、叩くとお君がす....
夫婦善哉」より 著者:織田作之助
を機会《しお》に、いつまでも二階借りしていては人に侮《あなど》られる、一軒借りて焼芋屋《やきいもや》でも何でも良いから商売しようとさっそく柳吉に持ちかけると、「....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
神田明神の祭りもすんで、もう朝晩は袷《あわせ》でも薄ら寒い日がつづいた。うす暗い焼芋屋の店さきに、八里半と筆太《ふでぶと》にかいた行燈の灯がぼんやりと点《とも》....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ることも出来る。半七はよろこんで万屋の店を出た。 四月になって、番太郎の店でも焼芋を売らなくなった。駄菓子とちっとばかりの荒物をならべている店のまえに立つと、....
婦系図」より 著者:泉鏡花
の親は、大概酒を飲みますものです。貴女を(お酌さん。)なぞと云う奴は、親のために焼芋を調え、牡丹餅を買い……お茶番の孝女だ。」 と大に擽って笑うと、妙子は怨め....
食魔」より 著者:岡本かの子
と溯った幼時の思い出を懐しもうとするのか、フライパンで文字焼を焼かせたり、炮烙で焼芋を作らせたりした。 これ等を鼈四郎は、病友が一期の名残りと思えばこそ奔走し....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
丘下に二つの碑が建てられていて、その一は明治三十五年中に、芝・麻布・赤坂三区内の焼芋商らが建立したもの、他は明治四十四年中に、都下の名士、学者、甘藷商らによって....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
が、突落されるように嶮しい石段を下りたドン底の空腹さ。……天麩羅とも、蕎麦とも、焼芋とも、芬と塩煎餅の香しさがコンガリと鼻を突いて、袋を持った手がガチガチと震う....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
のを厭いはしません。吹倒されるのが可恐かったので、柱へつかまった。 一軒隣に、焼芋屋がありましてね。またこの路地裏の道具屋が、私の、東京ではじめて草鞋を脱いだ....
大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
の勘定をしながら、家内安全、子孫長久、よそのことはどうでもよい。文化とは何んや、焼芋の事か。「近頃文化焼芋の看板をしばしば見かける」というような人情を私は感じる....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
産らしく提げて帰れば、廓から空腹だ、とは思うまい。――内証だが、ここで糸七は実は焼芋を主張した。粮と温石と凍餓共に救う、万全の策だったのである、けれども、いやし....
豆腐買い」より 著者:岡本かの子
狂いのお京さんに見せてやろう。そしたらお京さんはひょっとしたら悦ぶかも知れない。焼芋屋の隣に理髪店があるという平凡な軒並も加奈子には珍らしかった。その筋向うに瓦....
雪柳」より 著者:泉鏡花
れでも莞爾々々している…… 「これ、お茶をよ。」 と破襖の次の間へ。 「何だ、焼芋、蕎麦、ごもく、豆大福、豌豆の入った――うふ、うふ、うふふ。」 と尻上りの....
目黒の寺」より 著者:岡本綺堂
丘下に二つの碑が建てられていて、その一は明治三十五年中に、芝、麻布、赤坂三区内の焼芋商らが建立したもの、他は明治四十四年中に、都下の名士、学者、甘藷商らによって....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
たほどである。おげんさんと私は、三合で四銭の「やなぎかげ」を茶わんにつぎ、ひえた焼芋を七輪であたため、それをさかなに祝杯をあげた。『できた、できたよォ――』私は....