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「煎じ薬〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

煎じ薬の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
槍が三本、鎧が二領、それらの中に交って、老人、医道の心得があるらしく、いく袋かの煎じ薬と共に、立派な薬味箪笥が見えました。 「ウフフ。これは少々恐れ入った。御老....
三人の相馬大作」より 著者:直木三十五
気と称して、引籠ってしまった右源太は、生薬《きぐすり》屋から買ってきたいい加減の煎じ薬を、枕元に置いて (さあ、困った) と、布団の中で、眼を閉じていた。 (....
殺人鬼」より 著者:浜尾四郎
分が進んで求めたものでもないので、忘れたのか私には催促もせず、自分で何かいつもの煎じ薬を作つておりました。それで私は夕食後自分の部屋へ戻り、帯の間の薬を自分の机....
海浜一日」より 著者:宮本百合子
やれうれしやと存じましたら、またとまってしまいまして」 みわは、そう言いながら煎じ薬を茶碗についで母にすすめた。 「なに、御自分がわるいのさ――お前にはとんだ....
なよたけ」より 著者:加藤道夫
か、お薬鑵の中に黄金虫を一杯つめ込んで、……お湯をかけて、焚火で沸かして、……「煎じ薬」だよってごまかして、胡蝶に飲ましちゃったイ。 胡蝶 (急に思い出して、火....
葛根湯」より 著者:橘外男
なんぞ、無暗に勧めないでくれ、NO!」 とまた顔を顰めた。私は元来葛根湯という煎じ薬が大好きで屁のようなことでもすぐ女房に葛根湯を煎じてもらうのであったが、何....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
てて、お通の部屋があったが、そこの障子も今日は閉まったきりであった。納所の僧が、煎じ薬を持って入ったり粥の土鍋を運んで行ったりしていた。 ゆうべあの大雨の中を....
治郎吉格子」より 著者:吉川英治
へしのび入れた。 病人は、干し鰈のように平たくなって、昏睡していた。枕元には、煎じ薬も見えない。うす寒い空気と壁があるだけで、台所にも、一粒の米粒すらなさそう....
雲霧閻魔帳」より 著者:吉川英治
こう吠えると、権内は、土蔵部屋の戸を開けて中へ躍りこんだ。薄ぐらい行燈に、陰湿な煎じ薬の香が漂っていた。荒っぽい権内の手が、隅の小屏風を刎ね退けたと思うと、あれ....