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煎餅
「煎餅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
煎餅の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
婦の手から小さい紙包みを一つ受け取り、得々とそれをひろげだした。その又紙の中には
煎餅《せんべい》位大きい、チョコレェトの色に干からびた、妙なものが一枚包んであっ....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
たたら》食いちぎるに」
妻は慳貪《けんどん》にこういって、懐《ふところ》から塩
煎餅《しおせんべい》を三枚出して、ぽりぽりと噛みくだいては赤坊の口にあてがった。....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
気銃を求め得て高く捧げて歩行いた。隣家の少年では防ぎがたい。おつかいものは、ただ
煎餅の袋だけれども、雀のために、うちの小母さんが折入って頼んだ。 親たちが笑っ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
薄情者にはしたくないから、居処を教えてやろう。 堀の内へでも参詣る時は道順だ。
煎餅の袋でも持って尋ねてやれ。おい、蔦吉は、当時飯田町五丁目の早瀬主税の処に居る....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
って」 農場の男は僕の客だというのでできるだけ丁寧にこういって、囲炉裏のそばの
煎餅蒲団を裏返した。 その男はちょっと頭で挨拶して囲炉裏の座にはいって来たが、....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
傍輩で、そう毎々でもないが、時々は往来をする。何ぞの用で、小僧も使いに遣られて、
煎餅も貰えば、小母さんの易をトる七星を刺繍した黒い幕を張った部屋も知っている、そ....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
。……白足袋をつまんで。―― 磯浜へ上って来て、巌の根松の日蔭に集り、ビイル、
煎餅の飲食するのは、羨しくも何ともないでしゅ。娘の白い頤の少しばかり動くのを、甘....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
使のついでに、明神の石坂、開化楼裏の、あの切立の段を下りた宮本町の横小路に、相馬
煎餅――塩
煎餅の、焼方の、醤油の斑に、何となく轡の形の浮出して見える名物がある。....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
」 「串戯じゃありません。」 「私は例のかと思った、……」 「ありゃ天満の亀の子
煎餅、……成程亀屋の隠居でしょう。誰が、貴方、あんな婆さんが禁厭の蛇なんぞを、」....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
隆く目の窪んだ処から、まだ娑婆気のある頃は、暖簾にも看板にも(目あり)とかいて、
煎餅を焼いて売りもした。「目あり
煎餅」勝負事をするものの禁厭になると、一時弘まっ....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
あった。 中二階といってもただ段の数二ツ、一段低い処にお幾という婆さんが、塩|
煎餅の壺と、駄菓子の箱と熟柿の笊を横に控え、角火鉢の大いのに、真鍮の薬罐から湯気....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
……恐いよ。」 「まあ。」 「恐かったよ、それでね、私、貰っといたお菓子だの、お
煎餅だの、ソッと袂ン中へしまッとくの、そしてね、紙の上へ乗せて枕頭へ置いとくの。....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
て、すぐにお正月が来るのであったが、これはいつまでも大晦日で、餅どころか、袂に、
煎餅も、榧の実もない。 一寺に北辰妙見宮のまします堂は、森々とした樹立の中を、....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
を持って椅子なる客の後へ廻ったのは、日本橋人形町|通の、茂った葉柳の下に、おかめ
煎餅と見事な看板を出した小さな角店を曲って、突当の煉瓦の私立学校と背合せになって....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
にや笑いながら、恐らくは君自身は無意識に僕にこの矛盾を指し示した。 「カルシウム
煎餅も売っていますね。」 「ああ、あの大きい句碑の前にね――それでもまだ張り子の....