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煙を立てる
「煙を立てる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
煙を立てるの前後の文節・文章を表示しています。該当する7件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「坑夫」より 著者:夏目漱石
めて弓形にじいと、消えかかって、手の運動の止まる所へ落ちついた時に、また真直に油
煙を立てる。また翻《ひるが》えす。灯《ひ》は斜めに動く。梯子の通る一尺幅を外《は....
「家」より 著者:島崎藤村
けられている、よく出入した稲垣夫婦なぞも遠く成った。僅かに兄弟の力を頼りに細々と
煙を立てる有様である。二間ばかりある住居で、日も碌に映らなかった。それに、幾度か....
「悟浄出世」より 著者:中島敦
燃えた貪食《どんしょく》的な顔が大きく迫ってきた。悟浄は強く水を蹴《け》って、泥
煙を立てるとともに、愴惶《そうこう》と洞穴を逃れ出た。苛刻《かこく》な現実精神を....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
ること、焼山越の蠎蛇の比にあらず、朝鮮|蔚山の敵軍へ、大砲を打込むばかり、油の黒
煙を立てる裡で、お誓を呼立つること、矢叫びに相斉しい。名を知らぬものまで、白く咲....
「源氏物語」より 著者:紫式部
する。それだけの命なりとも夫人にお授けください」 こう僧たちは言って、頭から黒
煙を立てると言われるとおりの熱誠をこめて祈っていた。院も互いにただ一目だけ見合わ....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
、しかも多くの殺傷を与えた。天井の穴の縁は、間もなく死者の頭にかこまれ、それから
煙を立てる長いまっかな糸がしたたった。混乱は名状すべからざるありさまだった。家の....
「後の日の童子」より 著者:室生犀星
笏は、何ごとかを言おうとしたが、童子はものをも言わずに踞み込んだが、すぐ一抹の水
煙を立てると、その水田の中へ飛び込んだ。笏はすぐ馳けつけたが、いたずらに澄みかが....