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煙室
「煙室〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
煙室の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文章」より 著者:芥川竜之介
かこじつけましょう。」
「どうかよろしくお願いします。」
大佐に別れた保吉は喫
煙室へ顔を出さずに、誰も人のいない教官室へ帰った。十一月の日の光はちょうど窓を右....
「保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
きち》は二階の食堂を出た。文官教官は午飯《ひるめし》の後《のち》はたいてい隣の喫
煙室《きつえんしつ》へはいる。彼は今日はそこへ行かずに、庭へ出る階段を降《くだ》....
「オリンポスの果実」より 著者:田中英光
だり、船室が、相部屋の松山さん、沢村さんに占領《せんりょう》されているときは、喫
煙室《きつえんしつ》で、母へ手紙を書いたりしていました。
故国を離れてから三日....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
真昼から観客はいっぱい詰めかけていた。いま丁度、休憩時間であるが、散歩廊下にも喫
煙室にも食堂にも、「赤い苺の実」の旋律を口笛や足調子で恍惚として追っている手合が....
「蠅男」より 著者:海野十三
てみると、パッと明りがついて、室内の様子がハッキリした。ここはどうやら食堂|兼喫
煙室らしく、それと思わせるような什器や家具が並んでいた。なんにせよ、どうも豪勢な....
「日本脱出記」より 著者:大杉栄
の中に四、五人の私服がはいりこんで、あちこちとうろうろしたり、僕が乗った二等の喫
煙室に坐りこんだりしていた。ずいぶん気味は悪い。しかしまたそれをひやかすのもちょ....
「三十年後の世界」より 著者:海野十三
意は、二十四時間かかった。 いまはカコ技師も、はればれとした顔つきになって、喫
煙室《きつえんしつ》へ来て、煙草をうまそうに吸いながら、だれかれと話しあっている....
「橋」より 著者:池谷信三郎
砂の式台の定価札をひっくり返してみた。屋上庭園では失恋者が猿にからかっていた。喫
煙室では地所の売買が行われていた。待ち呆けを喰わされた男が、時計売場の前で、しき....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
覗く土耳古宮廷妾と王公側室と回教女。何と貧しい淫楽の巷であろう! 植民地兵営の喫
煙室みたいな前庭。その奥に、薔薇色の壁紙に広告用の掛け暦と、罅の入った鏡とを飾っ....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
残して行った微かな竜涎香の薫りと、一晩中密閉されていた彼女の体臭とが混合して、喫
煙室のそれのように、重く揺らいでいる空気だけだった。 二人は、到着と同時に汽車....
「臨時急行列車の紛失」より 著者:新青年編輯局
振動を少なくする目的のために着けられた。第二の客車は、例によって、一等室と一等喫
煙室、二等室と二等喫
煙室という四室に区劃られていた。その機関車に近い方の第一室が....
「鴉片を喫む美少年」より 著者:国枝史郎
中に石の階段が、斜めに空に延びていて、その外れに廊下があり、廊下の片側全体が、喫
煙室と酒場と娯楽室、そういうものになっていて、酒場からは酔っ払った男女の声が、罵....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
実は僕にもぶつかったのさ。クルガンの停車場へ停車く前に煙草を喫もうと思ってね、喫
煙室へ出かけたものさ。あの女の前を通った時だ。不意に女が立ち上がって僕の腰の辺へ....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
割くらいでありて、しかもその一割の九分どおりはゴム製カラーである。食堂のほかに喫
煙室と読書室があるが、読書室は女子の占領、喫
煙室は男子の専有の姿になっておる。そ....
「オスカー・ブロズキー事件」より 著者:妹尾アキ夫
れから時間的に順を追って話すことにしよう。 ソーンダイクと私が、たった二人で喫
煙室にすわって、ラダムの小駅にさしかかった頃には、十月の日が暮れかかっていた。汽....