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煙突
「煙突〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
煙突の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
にカッフェはおのずからまわり、コック部屋の裏を現わしてしまう。コック部屋の裏には
煙突《えんとつ》が一本。そこにはまた労働者が二人せっせとシャベルを動かしている。....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
―五六年|前《まえ》に顔を合せたあるお嬢さんの記憶などはあの匂を嗅ぎさえすれば、
煙突から迸《ほとばし》る火花のようにたちまちよみがえって来るのである。
このお....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
。時々小さい火の光りが流れるように通りすぎるが、それも遠くの家の明りだか、汽車の
煙突から出る火花だか判然しない。その中でただ、窓をたたく、凍りかかった雨の音が、....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
答えた事があるそうです。
そのほかまだ数え立てれば、砲兵|工廠《こうしょう》の
煙突の煙が、風向きに逆って流れたり、撞《つ》く人もないニコライの寺の鐘が、真夜中....
「或る女」より 著者:有島武郎
ないでいた。
やがて葉子はまたおもむろに意識の閾《しきい》に近づいて来ていた。
煙突の中の黒い煤《すす》の間を、横すじかいに休らいながら飛びながら、上《のぼ》っ....
「一房の葡萄」より 著者:有島武郎
に立って見ると、真青《まっさお》な海の上に軍艦だの商船だのが一ぱいならんでいて、
煙突から煙の出ているのや、檣《ほばしら》から檣へ万国旗をかけわたしたのやがあって....
「外科室」より 著者:泉鏡花
たより来たりたる、一群れの観客あり。 一個《ひとり》洋服の扮装《いでたち》にて
煙突帽を戴《いただ》きたる蓄髯《ちくぜん》の漢《おとこ》前衛して、中に三人の婦人....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
漁夫たちが一生懸命に捕獲して来た魚はまたたくうちにさらわれてしまって、墨のように
煙突から煙を吐く怪物のような会社の製造所へと運ばれて行く。 夕焼けもなく日はと....
「三つの窓」より 著者:芥川竜之介
っただけなんだ。それを何も死ななくったって、……」 ××の鎮海湾へ碇泊した後、
煙突の掃除にはいった機関兵は偶然この下士を発見した。彼は
煙突の中に垂れた一すじの....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
渠や、其の外雑多な工場のこちたい赤青白等の色と、眩るしい対照を為して、突っ立った
煙突から、白い細い煙が喘ぐ様に真青な空に昇るのを見て居ると、遠くが霞んで居るのか....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
唐子めくのに、思わず苦笑したが、 「昨日もその話を聞きながら、兵庫の港、淡路島、
煙突の煙でない処は残らず屋根ばかりの、大阪を一目に見渡す、高津の宮の高台から……....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
くなって、山がすぐ露出しに見えるから、かえって田舎になった気がする、富士の裾野に
煙突があるように。 向うの家も、どこへ行きなすったかね、」 と調子が沈んで、....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
つれて目に映じて心に往来するものは、土橋でなく、流でなく、遠方の森でなく、工場の
煙突でなく、路傍の藪でなく、寺の屋根でもなく、影でなく、日南でなく、土の凸凹でも....
「ひこうかばん」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
っそく、かばんはひこうをはじめました。ふわりふわり、かばんはむすこをのせたまま、
煙突の穴をぬけて、雲をつきぬけて、とおくへとおくへとんでいきました。でも、かばん....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
苦しめられるようになった。彼らは今まで平穏だった先生の領域を荒らし、唱歌の学校は
煙突をふさいでいぶり出してしまうし、校舎には堅固に結んだ紐や窓の心張棒があったに....