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煙霧
「煙霧〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
煙霧の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
誇った。 水無瀬女は、ときどき山の峯の鞍部のところへ上って、伯母の山を眺めた。
煙霧こそ距つれ、その山は地平の群山を圧して、白く美しく秀でていた。 「やっぱり、....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
え」 外にでると、連嶺のしたは一面の樹海だ。樹海のはての遠いかなたに、ゆらゆら
煙霧のようなものが揺ぎあがっているのがみえる。すると、そばの土人がおそろしそうな....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
天気が、七月の十二日に成って漸く晴れた。霖雨の後の日光は殊にきらめいた。長いこと
煙霧に隠れて見えなかった遠い山々まで、桔梗色に顕われた。この日は町の大人から子供....
「縮図」より 著者:徳田秋声
あった。 猿橋あたりへ来ると、窓から見える山は雨が降っているらしく、模糊として
煙霧に裹まれていたが、次第にそれが深くなって冷気が肌に迫って来た。その辺でもどう....
「人造人間エフ氏」より 著者:海野十三
ん見えなくしてゆく。天候もわるくなってきたようだ。そのうちに、飛行機のすがたも、
煙霧のなかにとけてしまって、やがて見えなくなった。ただエンジンだけが、つづいては....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
で! じつに流暢な英語で! 芝生に日光がそそいで、近くはかげろうに燃え、遠くは
煙霧にかすみ、人はみどりに酔い、靴は炎熱に汗ばみ、花は蒼穹を呼吸し、自動車は薫風....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
の人影に、ちょうど、天心に到る十六日の月が隈《くま》なく照しています。 もし、
煙霧がなければ白根山の峰つづきが見ゆるあたりに、竜之助はいつまでか立ち尽している....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
。露地に、あし音が近づいていた。
早い月の出……。
下りきった夕ぐれの色が
煙霧のようにただよって、そこここの油障子から黄色な光線の筋が往来に倒れている。
....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
の空気をおしつけている日であった。なんとなく紫色をした空気がただよっていて、町の
煙霧もそれを吹き消すことが出来ないような、遠い郊外の匂いが窓から吹いて来た。間も....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
now. 【悪竜の命を絶ちし傷より、深紅の血潮ほとばしり出でたれば、かの勇士その
煙霧のごとき流れに身をひたす。その時、菩提樹の枝より一枚の葉舞い落ちて、彼の肩を....
「三重宙返りの記」より 著者:海野十三
んだようだった……。 機は約千五百メートルにとびあがった。 はるかな地上には
煙霧が匐い、夕陽はどんよりと光を失い、貯水池と川とだけが、硝子のように光っていた....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
かれてすこしうすくなったとき、みよしのすこし左のほうをごらんなさい」 このとき
煙霧は風につれて、しだいしだいに動きだした。綿のごとくやわらかにふわふわしたもの....
「「太平洋漏水孔」漂流記」より 著者:小栗虫太郎
かし、それはただ眼先だけのことで、はや四、五|鏈先はぼうっと曇っている。そして、
煙霧のかなたからごうごうと轟いてくるのが、「太平洋漏水孔」の渦芯の哮りか……。 ....
「旅の旅の旅」より 著者:正岡子規
く行脚《あんぎゃ》の心の中うれしく秋の短き日は全く暮れながら谷川の音、耳を洗うて
煙霧模糊の間に白露光あり。 白露の中にほつかり夜の山 湯元に辿《たど》り....
「墓場」より 著者:西尾正
い始めました。谷のふちの向方には地下の墓所から蒸発しているのか、もやもや立ち昇る
煙霧の中へ青ざめた虧《か》けた三日月が射し入っておりました。そして、その弱い、波....