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「煤け〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

煤けの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
聖書」より 著者:生田春月
厚革で、製本はひどく堅牢だ。革はところどころはげたり、すりむけたりしている。縁も煤けている。何だかこう漁師町の娘でも見るような気がする。意外に軽い。 無雑作に....
眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
と、入ると、頬冠りをした親父がその竈の下を焚いている。框がだだ広く、炉が大きく、煤けた天井に八間行燈の掛かったのは、山駕籠と対の註文通り。階子下の暗い帳場に、坊....
隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
笑いに話してる。今省作がはいったのを知らない。省作は庭場の上がり口へ回ってみると煤けて赤くなった障子へ火影が映って油紙を透かしたように赤濁りに明るい。障子の外か....
栃の実」より 著者:泉鏡花
札には虎杖村と書いてあった。 ふと、軒に乾した煙草の葉と、蕃椒の間に、山駕籠の煤けたのが一挺|掛った藁家を見て、朽縁へ※道を向うへ切って、樗の花が咲重りつつ、....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
をしながら、 「しかし、このお天気続きで、まず結構でござりやすよ。」と何もない、煤けた天井を仰ぎ仰ぎ、帳場の上の神棚へ目を外らす。 「お師匠さん、」 女房前垂....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
かくして辿りついた薄暗い饂飩屋であった。 何しろ薄暗い。……赤黒くどんより煤けた腰障子の、それも宵ながら朦朧と閉っていて、よろず荒もの、うどんあり、と記し....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
足袋でお練でしょう。もう五にもなって真白でしょう、顔はむらになる……奥山相当で、煤けた行燈の影へ横向きに手を支いて、肩で挨拶をして出るんなら可いけれど、それだっ....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
屋、飯場のパパは、煩ってなくなった。 お妻は石炭|屑で黒くなり、枝炭のごとく、煤けた姑獲鳥のありさまで、おはぐろ溝の暗夜に立ち、刎橋をしょんぼりと、嬰児を抱い....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
熟柿の笊を横に控え、角火鉢の大いのに、真鍮の薬罐から湯気を立たせたのを前に置き、煤けた棚の上に古ぼけた麦酒の瓶、心太の皿などを乱雑に並べたのを背後に背負い、柱に....
星女郎」より 著者:泉鏡花
って来る……閉めて欲い。)と云うで、ばたばた小窓など塞ぎ、赫と明くとも参らんが、煤けたなりに洋燈も点けたて。 少々落着いての話では――勢に任せて、峠をさして押....
雪の女王」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
も、けっしてほえませんでした。ほえることはとめられてあったからです。 大きな、煤けたひろまには、煙がもうもうしていて、たき火が、赤あかと石だたみのゆか上でもえ....
」より 著者:犬田卯
大変だっぺ。」 勇はこんどは土間のあたりを見廻した。貧しい小作百姓のむさ苦しい煤けた土間には、ごみごみした臼や古俵ばかりで何もなかった。 おせきは答えず、別....
沼畔小話集」より 著者:犬田卯
米泥のM公 いつ見ても腐れ切った草屋根のところどころ雨漏りのする個所へ煤けきった板など載せて、北側の荒壁は崩れるままにまかせてあるのだったが、その廃屋....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
ものにはない、弱い女が流される。(姉めも、病身じゃによって、)と蜘蛛の巣だらけの煤け行燈にしょんぼりして、突伏して居睡る小児の蚊を追いながら、打語る。……と御坊....
式部小路」より 著者:泉鏡花
去った。 その傍に小店一軒、軒には草鞋をぶら下げたり、土間には大根を土のまま、煤けた天井には唐辛。明らさまに前の通へ突出して、それが売物の梨、柿、冷えたふかし....